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「おはよ、みょうじ」
「黒尾君。おはよう」
「いやぁー昨日は吃驚したわ。そーいや高校生ってバイト出来るんだったな。俺の周りあんまいねーし」
「部活忙しそうだもんね。そろそろバイト辞めて勉強に絞る人も出てくるし」
「だよなぁ。みょうじはいつまで続けんの?」
「今やってるのはもう来週でやめるけど、別にまだ勉強一本に絞りたくはないから新しいの捜すかも」

体育館から教室へ行く途中の黒尾君と並びながらぼんやりと遠くはない将来の目処をぼやく。2年もほとんど終わりが近付いている。現に彼も部内で引継ぎを済ませ、今やほとんど3年生と変わらない立場だろう。

「そもそも私、時間があればある程手を抜くからバイトしてただけなんだよねー。黒尾君みたいに部活しても良かったのかなぁ」
「……じゃあウチのマネやるか?」
「えっ……」
「……」
「黒尾君、冗談言うなら冗談って分かるように」
「いや本気だって。昨日も仕事早かったし」
「それは……ありがとう」

お礼を言いながら頭を傾げた。はて、この子は何を考えているんだろう。バレーに関して何となくで話をするようには見えなかったけれど。

「えーっと……勿論って即答したいとこなんだけど、私バレーのルールはおろかスポーツ全般にろくに触れたことないから、下手に面倒かけるぐらいなら遠慮しておくよ」

でもちょっとやってみたかったなぁ。バレーって近くで試合みたこともないし、楽しそうなんだけど。マネージャー無しでやってきたチームにいきなり初心者が割り込んでも楽になるどころか逆に面倒をかけるとしか思えない。

「ルールも仕事もこれから覚えればいいだろ。バイトと変わんねぇよ」
「……本当にいいの?もう3年になる奴なのに」
「おう。他の部員も普段の様子からしたらマネ入る分には賛成だろーし」
「ちゃんと仕事内容教えてね」
「はいよ」



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