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(暑い…)

体育館の中の蒸し蒸しした空気に額の汗を拭った。確かに寒さも落ち着いてきているけれど、選手陣のシャツは汗でびっしょりだ。それなりに慣れたつもりでいたがマネージャーも中々忙しいものだ。

「あー、タオルタオル……」

山になったそれはあっという間に汗でびっしょり。小休憩の間にあれこれとしている彼らの赤くなった腕や痣に顔をしかめた。あんな大きな音をたてるほどの威力のボールを受けたり床に叩きつけられる勢いでボールを拾ったりするのだから、当然と言えばそうなのかもしれないけれど。

「あ」

ふと声がした。こういう疲れているときは特に話さないうちのセッターの声に顔を向けた時には既に、彼の視線の先を追うのには遅すぎたようだ。
がんっと後頭部を襲う衝撃と前に傾く体。数歩よろけてた私の両腕をちょうど正面にいた夜久君に支えてもらって体勢を整えた。

「悪い!なまえー!!」
「平気ー!」

ああ、木兎君のスパイクか。ワンバウンドした割には勢いのついたボールだと思ったら。

「ったく、気をつけろよ。ワンバンしてなかったらやべぇぞ」
「だよね……気をつけます。孤爪君、教えてくれてありがとね」

じゃあタオル洗ってくるよとその場を後にする。

「……地獄耳」
「ん?なんか言ったか」
「別に」



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