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(眠い)

昨日一番最初に寝落ちした筈なのに一番最後に起きて眠い目を擦る。若いって凄いな……なんて考えながら朝ご飯を食べに向かえば、眠気を醸し出す人やこれからの練習にテンションをあげた人でやや混沌としていた。朝っぱらから皿にどっかり盛られた朝ご飯に胃がうっとつまる。この匂いでお腹いっぱいになりそうだ。
音駒のみんなのところへ向かえば、一人椅子の上で丸まって寝る研磨君の姿。他のみんなはそれなりにしっかりした量を食べていて、それを尻目にヨーグルトを口に運ぶ。朝あんま食べないタイプか?と話しかけてきた夜久君と話しているとぐわっと肩を掴まれる。

「なんだなまえー!それしか食わないのか?昼飯の前に腹減っちまうぞ!!」
「木兎君……おはよう。元気だねえ」
「おう、はよ!」
「木兎さん、席に着いてください」

嗜めるように言ってぺこりと頭を下げた赤葦君にもおはようと言ってから目を少しだけ開く。

「赤葦君も結構食べるんだね」
「意外ですか?」
「なんか研磨君みたいな印象があったから……でも確かに、背高いし結構がっしりしてるもんね」
「、ありがとうございます」
「あ、いえいえ」

赤葦ー!と梟谷の方から声がして彼が去ると、いつの間にか目を覚ましていた研磨君とぱっちり視線が合った。

「おはよう」
「おはよ。……仲良いね」
「え?あ、木兎君と赤葦君?」
「うん」
「いきなりエースらコンビと仲良くなるとは流石うちのマネージャーだな」
「黒尾君それ褒めてるの?」
「褒めてる褒めてる。あの調子でちょっくら機密情報でも掴んできてくれよ」
「スパイごっこする余裕があったらね」

ふっと口元を緩めてそう返すと私が食べ終わったのを見計らってかマネージャーのみんなから準備に行こうと声がかかった。思ったよりこの合宿で色んな人に目をかけてもらっているような気がする。

「じゃあ私先行くね」
「おう、今日もよろしくなー」
「よろしくねー」

最後に来たのに最初に去っていったなまえの背を見送りながら夜久がふと、思ったより馴染んでるなと呟いた。

「娘が親離れした時の気分ってか」


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