夢見 | ナノ



朝起きるともう時間はギリギリを指し示していた。仕方なくいつもより乱雑に支度をして急いで家を出る。人に話した夢はもう見なくなる、そんな噂を聞いたからお母さんにでも聞いてもらおうと思ったけど仕方ない、友達に話そうと思って学校へ向かった。

「音駒の?」
「うん。全然知らない人だけど」
「え、イケメンだったとか」
「いや……可愛い感じ?ってそこじゃなくて!窓割れたのって展開的にあの飛び降りた子が上がってきたとしか思えないじゃん!」
「だねー。こわっ」
「なんでこういう夢に限って続き見ちゃうんだか」
「ははっ、どんまい」

けらけらと笑って肩を2.3回叩かれる。まぁ話してすっきりしたしもう大丈夫だろう。埋め合わせに凄くいい夢見れたらいいな。それこそイケメンが出てくるような。けれども友人の軽口で気が楽になったのは確かで、いつも通りの時間を過ごした。

「そうだ、今日こないだ話してたクレープ食べようよ」
「行く!」

夢のことは忘れて放課後クレープ食べて、欲しい景品入荷したからという友人についてゲーセンに行って、プリクラを取って、お店をぶらついて。思ったより出費が多かったかなとちょっと反省しながら帰り道についた時、昨夜のあの目立つ髪色を見つけて目を見開いた。

「うそ」

それは真っ赤なジャージだった。目立つカラーリングから私の学校でも話題になったことがある。音駒の、どこかの運動部のジャージだ。

「なまえ?」

それもすぐに人混みに紛れてしまい、急に立ち止まった私を訝しげに見る友人に慌てて視線を戻す。

「ごめん、知り合いに似てる人がいたからびっくりして」
「違ったの?」
「うん、制服違ったから」
「そっか」


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