夢見 | ナノ



「セッター?」

こんな風に過ごし始めてから目覚めるまで暇になってしまった私達は、最初に比べたら仲良くなった(……と思う)とは言え少し気まずくて。ぽつりぽつりと短い会話をしているうちにバレーについて話すようになった。聞けば聞くほど、研磨君達がどれだけバレーに打ち込んでいるか実感する。

「なまえは?」
「え?」
「部活とか」
「ああ、茶道部だよ。辞めちゃったけどね」
「へぇ」
「研磨君はなんでバレー始めたの?」
「クロに誘われた」

彼らしい理由だ。でも誘われたからと言っても確かに二人のいるチームは強くて、最近は前以上に練習も盛んになってきているらしい。最近お互いの無事の確認をするかのように一言だけ送るおはようも、いつも研磨君から先に早い時間帯に届いているし、調べたことについて報告し合うのは基本的に休み時間や夜遅くになってからだ。

「早く抜け出さないとだね」

なんて言ったらいいか分からなくて咄嗟に発した言葉に顔を歪める。早くこんなところ抜け出したい。けれど、そうしたらお互いの性格や生活習慣を考えるともう会うことはないだろう。顔見知りの子が卒業と共に会ってもすれ違うだけの他人になるように。それはなんだかとても寂しくて、確かに私だって実際はすぐに元の生活に慣れてしまうだろうけれど。

あと、少しだけ。

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