夢見 | ナノ




「……」

返信が来ない。朝から何度も何度も確認しているのに既読すらつきやしない。

「どーした研磨」
「返信ない」
「おいそれ……」

昨日あのままいなくなってしまった彼女の事を考えると嫌な予感しかしない。あれから暫く目が覚めなかったという事は彼女もまだ意識が向こう側にあったという事だ。とはいえ部活を休むのも連絡先しか知らないのに彼女を探し出すのも難しい。

「どうすんだ、研磨。今日は部活休んでも」
「ううん、今から学校行っても帰宅してるかもだし。様子見てみる」
「……分かった。何かあったらすぐに言えよ」
「ん」

まだ日も沈んでない。部活中に来るかもしれないと考え直してジャージを羽織った。そもそも日常生活に支障が出ていない時点で解決を急ぐ必要は無かったんだ。ゆっくりでいい、確実に。
帰宅して自室のベットに座り込みながら携帯を見ると、部活終わりに確認した時は何も無かった連絡用アプリケーションにメッセージが届いていた。今自分のいる場所が分からないが無事だから、こっちはこっちで勝手に捜索していて欲しいという文章だった。
少し変な感じがした。彼女はだいぶ怖がりだったけれど、効率的に動けるタイプだったし迷惑をかけたくないって顔に書いてあるような子だった。まぁその方が助かるんだけれど。そう考えるとおかしくないはずなのに、何か違和感を感じる。

(ま、いっか)

本人がそう言ってるんだし。


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