明日の君と溺死 | ナノ




あれから一週間弱。交代で家事をするようにはなったものの、出かける時は誰かがいなくちゃいけない以上むやみやたらと出歩けなくて、ほとんど引きこもり状態で過ごしている。
よくよく考えるとみんな学校にボーダーの仕事に自主訓練と凄く忙しそうだ。なんだか私だけ、

(ニートみたい……)

とは言ってもボーダーの人達の懸念も分かる。働くといってもボーダーに関わる仕事をして情報が私に流れるのも危ないし、民間の人に何かあっても良くない。大学に通うのだってそうだ。危険性もそうだけど、お金や戸籍のことだってあるのだ。
私が迅くんに本部に連れて行かれたのはそんな矢先のことである。

「あ、いたいた。風間さん、さっき言ってた助っ人連れてきたよ〜」
「助かる。……確かお前は」
「あれ、こないだの女の子じゃん」
「あ」

確か刀持ってた人と小柄な人……今日は普通の服装だ。それにこれ、

「大学の、課題か何かですか?」
「さすがみょうじさん、ご名答」
「助っ人って課題手伝えばいいの?」
「その必要はない」

立ち上がった小柄な人は、上着を着ながらすっぱり言い切った。

「こいつは自力で課題を片付ける努力をするべきだ。いきなりで悪いが俺は任務があってな、見張りだけ頼めるか……名前は確か、」
「なまえです。みょうじなまえ」
「風間蒼也。21だ」
「じゃあひとつ先輩ですね。分かりました」
「そいつに気を使う必要も手伝う必要もない。厳しく見てやってくれた」
「それじゃあ太刀川さんのことよろしくね〜」
「ん?」

ドアが閉まった。まさか迅くんまでいなくなるとは思っていなかった私は残って机に体を預けているその人と数秒見つめ合う。

「……お名前聞いてもいいですか」
「太刀川慶。同い年だよ、よろしくねなまえちゃん」
「よろしくお願いします。ちなみに課題って何だったの?」
「この本の感想」
「読み終わった?」
「それが全く。何言ってるかわかんないしさ。ね、なまえちゃん玉狛引きこもり状態なんでしょ。気分転換に俺とどっか散歩でも行かない?」
「そうも行かないよ。課題手伝うから散歩はまた今度誘ってください」
「手伝ってくれんの!?俄然いける気がしてきた」
「ほんとにちょっとだけだよ」





「迅、いいのか?」
「なにが?」
「彼女は玉狛の誰かが見張ることになっているだろう」
「太刀川さんいるから大丈夫でしょ。気を遣って玉狛に篭ってるけど、外に出ないって結構辛いだろうし」
「そうか」


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