鈍痛 | ナノ



「俺もなまえちゃんと似た状況だったからなんか気になっちゃったんだよね」
「及川君も……昔のスランプぶり返してる、とか?」
「ぶり返してるのとは違うかな。ただ……可愛い俺の後輩が中々の天才クンだから、負けるわけにはいかないなって」
「天才…………同じチームなんですか」
「んーん、あの子バレーは出来るのに頭はからっぽだからねー。中学は一緒だったんだよ」
「そう、なんですか」

同じチームに、天才の後輩。それがどんなものかはなんとなく知っている。まさしく私が、その後輩だったから。実力だと言っても割り切れないものはある。先輩が私のせいでどんな顔をしていたか、思い出して口を結んだ。

「あの時は中々倒せない敵もいたせいで荒れてたんだよね。でもあいつは確かに天才だけど、まだ司令塔としては未熟だ。だから負けないよ」

その強い意志を宿した目は真っ直ぐで少しだけ驚いた。

「だから公式戦ではフルボッコにしてやろうと思うんだよねー」
「ふ、フルボッコ……ですか?」
「そ!お前はまだまだ及川さんに勝てないんだよばーかって!」
「……ぷっ」
「え!そこ笑う!?」
「いや、ふ、ふふっ」

思ったより子供っぽいなぁとか、まだ負ける気はしないのか、天才に勝つ気でいることへの安心感とか。

「それ、最高ですね。頑張ってボコボコにして下さい」
「へっ」
「フルボッコ、するんですよね」
「……、もちろん!なまえちゃんもちゃんと試合、見に来てよね」
「言われなくても勝手に行きますよ」



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