鈍痛 | ナノ




及川徹は私の憧れだ。
彼と言えば青葉城西のバレー部で実力者として名を馳せていて、ルックスと親しみやすい性格から校内、多分校外でもかなりの人気者。私が彼に憧れを抱いたのも、入学してすぐその噂の彼を見ようと友達に言われて彼のプレーを見たのがきっかけだった。
バレーのルールはあまり分からない。ポジションも全部言えないし、取り敢えずボールがネットの向こうに入ればいいのかなという認識程度。けれど、彼が凄いのはわかった。同じ選手でも彼がいる時といない時じゃ全然違うのだ。
ことあるごとに何やら口を開いては、先輩にだろうか、頭をはたかれたり肘鉄入れられたりしながらもその実力は確かだったし、周りがそれを信頼しているのも確かだった。
あんなプレーを私もしたい。その思いが強くて何度か試合を見たりと足を運ぶうちに、3年に上がる頃には私が及川徹を慕っているという少しずれた認識が友人の中では定着していた。



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