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そんな俺に、相変わらずめんどくさげな道が続ける。
そんなにめんどうそうにしなくてもいいのにな。
『お前みたいな、SでもMでもない“ノーマル”が生まれた時のイヌは、SでもMでもない代わりに、大抵なにかしらの欠陥がある。普通の人が見たら、だけどね』
「欠陥? 青には足りないものなんてないと思うけど……」
『……お前にはわからないよ。お前はその人を構成するすべてを、その人の“普通”として受け入れちゃうんだからさ』
もう俺、道が話してることがちんぷんかんぷんなんだけど、どうしたらいいんだ。
道の言ってることがまったく理解できず首を傾げてる俺に気づいたのか、道が、『もうこの話は終わり。めんどくさいしね。……そうそう、すぐに連絡とって上げるから、色々準備しといて』と電話を切ってしまった。
「なんだったんだ、道のやつ。まあ、連絡とってくれるって言ってたし、どうでもいいか!」
「もう終わったのー?」
「うん。でも、もうちょっと待ってな? 道が準備しとけって言ってたから、日高に連絡とんねえと」
「んー」
善は急げと俺は携帯を取り出し、実家へとかける。
いや、だって俺、日高の電話番号なんて知らねえもん。
そうして実家の人間から電話番号を聞き出して、俺は早速日高の家へ電話をかけた。
結果はもちろん、了承。
情け容赦なくやっちゃってくれと言われました。
正直家族に対してそれは……と思った俺だけど(自分のことはこの際棚に上げて)、日高の人間たちは愛伊に対して限界を感じていたらしい。
愛伊は前の学園でも問題を起こしていて、学園を崩壊寸前にまで追い込んでしまった。
今のこの学園のように生徒会を筆頭とした人気者たちが愛伊の取り巻きになって、毎日のように起こす暴力沙汰。
不当な退学にされた人たちもたくさんいたらしい。
しかもその時、自分の傍にいつもいさせたのが、弟くん。
弟くんは抵抗むなしく連れまわされ、生徒会には毎日のように暴言や暴力を浴びせられ、その上親衛隊にはリンチされたりしていたという。
そして、それを助けたのが、弟くんの現在の恋人である日高の次男……風紀委員長だった人で、彼は弟くんを助けると同時に、愛伊を退学に。
そして生徒会たちはリコールされ、学園には平和が戻ったらしい。
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