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 そう思った俺は、すぐに携帯を取って、道へとかける。

 青はよこで不思議そうに俺のことを見ていたから、頭をぽんぽんと撫でた。

『――なに。お前が電話って、珍しいね。くだらない用だったら許さないよ』

「あはは、相変わらず厳しいなぁ! 大丈夫。くだらなくないからさ。あのな、実は――」

 そうして俺は電話の相手である道にことの経緯を話した。

 はは、こんな話なのに笑えるのはお前だけだと思うぞ道。

『ふふ、なぁにその面白い話。っていうか、どこの学園にもいるものなの? そういううざいのは。この間まで僕のところにもいたよ』

「ははっ、そうなのか? だったらいるのかもな! ……で? どうなんだよ、そのサディストに連絡はつきそうか?」

『誰に物言ってるのさ。連絡はつくかつかないかじゃないんだよ。つかせるの』

 携帯越しに聞こえるその言葉に、俺はほんと道は変わらないなぁ、と笑った。

 その瞬間、むっと横にいる青が不機嫌になったから、くしゃりと頭を撫でた。なぁに、もしかして構ってやらなくて寂しかったのか?

「青、ごめんな? もうちょっと静かに、な?」

「……んー」

『? 誰かいるの?』

「ん? ああ、うん。青……あー、俺のイヌなんだけど、そいつがいる」

 首でも傾げていそうな問いかけをした道に、青の頬を撫でながら答えた。

 そんな俺の行動に不機嫌そうな顔をしていた青が少しだけ浮上したみたい。

 道は俺の“イヌ”という言葉に、『へえ、お前も見つけたんだ』と呟いた。

「ああ。すげぇ可愛いやつなんだ。ちょっと寂しがりだけどな!」

『……へえ、“可愛い”ねえ? 多分僕がそいつに会っても、そんなこと微塵も思わないだろうけどよかったね』

「はは、そりゃあ人がなにを可愛いって感じるかなんて、人それぞれだからな!」

『……そういうことじゃないんだけどね』

 じゃあどういうことだよ? と問いかければ、携帯越しに伝わる、道のため息。

 はは、めんどくさいって思ってるのが、すげぇ伝わってくるな。

『はあ……、柏木家っていうのはSが生まれることが多くて、それ以外はMが生まれるってのは知ってるでしょ?』

「おう。あたりまえだろ」

『……で、それに合わせたみたいに、正反対の性癖を持った“イヌ”がいるってことも』

 ああ。と俺は小さく頷く。と言っても電話越しだからわかんねえだろうけど。

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