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俺の言葉に、相馬先輩は満足そうに笑うと、「へぇ、羽衣はマゾの変態なんだなァ」って言った。
「せんぱいっ、言わせたのに……っ」
ぼろぼろと涙を流しながら眉を下げてそう告げると、先輩がにやりと笑った。
「ああ、そうだな。ちゃんと言えた羽衣にご褒美やんねぇとなァ」
「ぅえ? ご、褒美って……っあ! やぁぁ、いぃっ!」
「どうだ? 気持ちいいだろ?」
いきなり指を2本に増やされて、さらに増した痛みと快感に思わず先輩の腕を掴んだ。
それでも先輩はやめてくれなくて、ただただぐりぐりとそこを弄る。
――そのまま、俺の力が入らなくなるまで、そこを弄られ続けた。
「そろそろいいだろ」
「? せん、ぱ……」
「ん? ああ、頑張ったな、羽衣」
弄られ続け喘がされ続けたことでぼうっとする頭の中覆いかぶさる先輩を見上げると、先輩はふっと笑って僕の頭をそろりと撫でてくれた。
それまでのいじわるな先輩とはまた違った先輩にときめいていた俺は、先輩が、「躾には飴と鞭が必要だからなァ。おかげでいい感じにとろけてきたし」と言ったのを、俺の名前を呼ばれたことしか聞きとれず、意味もわからずただ頷いた。
そんな俺に満足そうに笑い頷いた先輩は、「じっとしてろよ」と呟き、ズボンの前をくつろげると、不思議そうに見上げる俺の両足を肩に担いだ。……え?
ま、まさか……とここにきてやっと先輩がしようとしてることに気がついて、俺は驚愕に目を見張る。いや、今さらなんだけどね。
「羽衣……」
「っあ!? あぁ、や、まっ……!」
「待たねえよ」
ずぐっと奥まで一気に突きいれられ、あまりの痛みと快感に頭がおかしくなりそうだった。
しかも先輩は俺が慣れるのを待たず、腰を揺らすから、ほんとどうしていいかわからない。
「ははっ、いいな、その顔っ……すっげぇそそられる。なあ、お前わかってやってんだろ」
「なっ、にっ? っあん、ん!」
「だから、その、気持ちよすぎて泣きそう、って顔。可愛すぎ」
ちゅっとやさしくキスをされ、俺ははくはくと喘ぎながらも必死で先輩にしがみついた。
ぐりぐりと奥を突かれたと思ったら、ぎりぎりまで抜かれて、入口を焦らされる。
焦らされるのがもどかしくて、いやいやと首を振れば、「しょうがねえなァ」と笑った先輩にまた一気に奥を突かれ揺さぶられた。
「ぁっ、あ、んぅっ、あっ」
「なァ、羽衣」
「んぁぅ? っあ、あぁ、んぅ」
名前を呼んでくれた先輩に応えたいのに、快楽に呑まれた思考はそれすら許してくれなくて。
先輩は理解できない俺に、ふっと笑うと、普段の俺なら恐怖と快感に竦んでしまうような怖い目で俺を見つめた。
「お前のことを傷つけるやつは、俺が排除してやる。だからお前は俺のことだけ考えてりゃいい。俺はお前のイヌだからな」
「っひ、ぁぅ、あっ、んんぅ」
「イヌが、飼い主に従うのは当然だろ? だから、お前はこうやって、ずっと俺にいじめられときゃいいんだよ」
相馬先輩は、そう呟いて、聞こえないなりに聞き返そうとする俺の首元にきつく噛みついた。
その時、俺の首に巻かれた、先輩いわくリードが、がちゃりと小さな音を立てた。
……まるで、俺のすべてをがんじがらめにする鎖みたいに。
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