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 あれから生徒会どもは大人しくなり、僕を見ると顔を青ざめさせながら逃げるようになった。

 親衛隊と同じで本当に度胸がないね。

 でも仕事をちゃんとするようになったのはいいことだと思う。


 ぶりっこはあの後すぐに退学した。

 というのも、あの後も自分の正義を振りかざしぶりっこしてたんだけど、僕の家が柏木だって知った理事長が無理やり退学させたらしい。

 理事長はぶりっこの叔父で、甥であるぶりっこのことは溺愛しているらしいんだけど、権力には勝てないみたい。

 僕はぶりっこのいなくなった寮で悠々と一人部屋を満喫している。

 まあ毎日狗牙の部屋か僕の部屋にお互いが居座ってるんだけど。



 そして今日は僕が珍しく一人で街に行ってきて、部屋に帰ってきたら、そこにいたのは不満げに眉を寄せる狗牙。

 一人で留守番くらいしなよ、イヌでしょお前。

 仕方ないなあと思いながらも、不服そうにソファーの上に座っている狗牙に、僕は苦笑した。

 飼い主に対してのその態度、許すのなんて僕だけだよ?

 僕は狗牙に近づくと、「ただいま」と声をかけた。

「俺のことおいて、どこ行ってたんだよ」

「ふふ、ちょっとね」

「俺には言えねえのか」

「別にそんなんじゃないよ。……ねえ狗牙、ちょっとこっちおいで」

 不満げにしながらも、ちゃんと従う狗牙。
 目の前に立った狗牙を見上げて、僕はおもむろに狗牙の首元にある首輪に手をかけ、外した。

「っ、なにして……っ」

「しー、ちょっと静かに、ね。いい子だからじっとしてて」

 僕の行動に目を見開いている狗牙を大人しくさせ、僕は今もらってきたばかりの新しい首輪を狗牙の首につける。

 それは、本当のイヌになった者にだけ与えられる特注品の首輪。

「ふふ、うん。すごく似合ってるよ、狗牙」

「――っ……道っ」

「ぅわっ、ふふ……嬉しい?」

「っああ、すっげえ嬉しい。幸せだ!」

 上から覆いかぶさるようにして抱きしめてきた狗牙の背中に僕からも腕を回し、ぎゅっときつく抱きしめてくる狗牙の力に身を任せた。

 僕もイヌが見つかってほんとに幸せだよ。

 お前は一生僕の物なんだから、一生そばを離れないでいいの。

 そうすれば僕らどっちもずっと幸せ。そうでしょう?
 
 僕は狗牙の鼓動を聞きながら、にっこりとほほ笑んだ。

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