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「道! 俺が助けてあげるからっ」
「……ふふ、助け? そんなもの僕には必要ないよ」
「っがはぁっ!」
ぶりっこのお腹を思いっきり蹴りつけた。
案の定ぶりっこは吹っ飛び、無様に転げる。
この間の狗牙とは大違いだね。狗牙は蹴られても可愛かったのに。
呻き、「なんで……っ」と呟くぶりっこになんの感慨も浮かばない。
むしろ早く潰してその醜い顔を消してしまいたくなるね。
「お前さあ、なにか勘違いしてるみたいだね。僕は狗牙に脅されてなんかないんだよ? だって飼い主が自分のイヌに脅されるわけないもの」
「っ……い、犬?」
「そうだよ。狗牙は僕のイヌなの。お前のものじゃないんだよ」
くすりと笑いながらそう告げてやる。
僕の物発言を聞いた狗牙は目を輝かせていて、すごく可愛い。
生徒会どもは僕の冷気に当てられて動けないみたい。一体どこの箱入りなんだか。
でもぶりっこは冷気もわからない正真正銘自意識過剰のバカだったみたい。
僕のイヌ発言を聞いたら、痛いだろう身体を起こして、きっと僕を睨みつけた。
まあ、もじゃもじゃのせいで顔はわからないんだけど。
「狗牙先輩は人間なんだよっ? そんな犬だなんてひどいこと言わないで! 道ならわかってくれるでしょう?」
なんの茶番なの。声を震わせながら僕に諭すように言ってきたぶりっこ。気持ち悪い。
生徒会どもはそんなぶりっこを憧憬の眼差しで見てるからなおきもい。
「ふふ、わかんないなあ。だって狗牙は僕のイヌ、これは事実なんだよ?」
「っ……そんなの事実じゃない! 狗牙先輩が道の犬だなんてありえないっ、最低だよ!」
それってさあ、狗牙が自分の犬だとでも言いたいわけ?
たかが数日自分の周りをうろちょろしてただけで?
狗牙はただ飼い主を探してて迷子だっただけだったんだよ。
でも今は僕を見つけたし、お前はいらないの。
まるで僕の物を自分のものだとでも言いたげなぶりっこにイライラが募ってくる。
狗牙はそれに気づいたのか、そっと僕の手を握った。
それを見てまたぶりっこがうるさくなってさらにイライラ。
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