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身体を清めて、僕は生徒会室にあるソファーの上で、床に座った狗牙に腰を抱きしめられていた。
お腹辺りにある頭をさらさらと撫でていると、耳障りな声とともに、ぶりっこと生徒会どもが生徒会室に入ってきた。
そして僕と狗牙の様子を見て、驚愕する。
「……なにやってるんですか、あなたたち」
「あ? 見てわかんねえのか」
わかるわけないでしょ。普通。
彼らが知ってるのは一週間前くらいのお前と僕だよ?
それにしても、ぶりっこの顔がおもしろい。
自分の取り巻きだった美形を僕に取られて悔しいっていうところ?
でもね、生憎だけど狗牙は最初から僕のイヌで、僕の所有物だから。お前になんて渡さないよ。
「道! 狗牙先輩になにかされたの? もしかして脅されてるとか!」
はあ? 一体なにを見たらそんなことが思えるの。意味わかんないんだけど。
僕が冷たい視線を送っていることに気づかないぶりっこは少しずつ近づいてきながら、言いつのる。
……狗牙、「冷たい目で見るなら、俺のことを見ろ」って不服そうにしないでよ。
「狗牙先輩っ、いくら俺が先輩のものにならなかったって、道にひどいことするなんて最低です! 道がかわいそうですっ」
つまり、ぶりっこを自分のものにできなかった狗牙が、腹いせに僕を脅してレイプでもしたと。
……バカじゃないの。頭でも湧いてるのかなこいつ。
僕と狗牙の様子を見て、どうしてそんな考えにいくのかわからない。
どう見てもらぶらぶじゃない? 僕たち。
なにより、ぶりっこが、まるで狗牙が自分のことを好きみたいに話してるのが気に入らない。
狗牙はお前の所有物じゃないんだけど。僕の物なんだよ?
僕は狗牙の頭をさらりと撫でる。
それを見たぶりっこが、多分、僕から狗牙を引き離さないと、自分を一番に見てくれないとでも思ったんだろう。
ぶりっこは自分が一番じゃないと気が済まない質らしいから。
いきなり僕のほうに走り寄ってきたぶりっこを見て、僕はほくそ笑む。
そしてそっと狗牙の腕を外させた。
ほら、あれだよ、この状況。
……飛んで火にいるなんとやら。
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