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それに僕は一瞬だけ不思議に思うんだけど、すぐに理解してにこりと笑い、わざとお尻をすりつけるように動かしてやる。
殴られたり蹴られたりして勃たせるなんて、ほんとにドMだよね、お前。
「ねえ、お前なに勃たせてんの?」
「く……っぅ、ぐあっ」
「あ、やっぱり痛いのが気持ちいいんだ? ……変態」
同じ男として絶対痛いだろうなというくらい強く擦りつける。
というかもう押しつぶすって感じ?
それでもイヌは気持ちがいいみたいで、ズボンの中で勃たせたまま。
「ふ、ぐ、はぁ……っ!」
「喘いでばっかりいないで、答えてよ」
「ぐっ、いた、痛いっ」
「嘘つかないの。気持ちいいくせに」
イヌのシャツの上から、乳首をぎりっと強く抓ってやる。
そうするとイヌがびくりと腰を突き上げてきた。
あ、もうイキそうなの?
そう思った瞬間、僕は動くのもいじめるのもやめる。
そんな僕に、イヌは目を見開いた。
なんで僕がお前のこと気持ちよくしてやらなくちゃいけないの?
今は躾の最中なんだよ?
にっこりと笑いかけると、イヌは思い出したのか、快感で赤く染まっていた顔をさっと青ざめさせた。
ふふ、いい顔。
そんなイヌに僕はやさしくささやいてあげる。
「……ねえ、そんな顔するくらい、僕に捨てられたくない?」
ふんわりとほほ笑んだ僕の言葉に、イヌが希望にあふれた目をする。
僕はイヌの頬をすっとやさしく撫でた。
躾には傷みを与えるだけじゃだめだからね。ちゃんと飴もあげなくちゃ。
それにしても恍惚と僕を見つめるイヌは可愛いね。
学園では俺様として通ってるのに、ほんとに可愛い。
イヌはほほ笑む僕に、こくこくと必死で頷いた。
「俺を捨てるなっ」
「……ふふ、でもお前が悪いでしょ? 悪いことしたら謝らないと、ね?」
やさしい僕の言葉に導かれるみたいに、イヌはゆっくり口を開く。
イヌの言葉遣いがあまりよくないのは、別に気にしてないよ。
「――悪かった」
「ん? 違うでしょ。ごめんなさい、道だよ。はいもう一回」
「? みつ……」
「そう。道だよ。僕の名前。僕はご主人様って呼ばれる趣味も、様づけされる趣味もないから、ね」
僕がそう言うと、イヌは恍惚とした表情を浮かべ僕を見上げた。
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