10


 それに僕は一瞬だけ不思議に思うんだけど、すぐに理解してにこりと笑い、わざとお尻をすりつけるように動かしてやる。

 殴られたり蹴られたりして勃たせるなんて、ほんとにドMだよね、お前。

「ねえ、お前なに勃たせてんの?」

「く……っぅ、ぐあっ」

「あ、やっぱり痛いのが気持ちいいんだ? ……変態」

 同じ男として絶対痛いだろうなというくらい強く擦りつける。
 というかもう押しつぶすって感じ?

 それでもイヌは気持ちがいいみたいで、ズボンの中で勃たせたまま。

「ふ、ぐ、はぁ……っ!」

「喘いでばっかりいないで、答えてよ」

「ぐっ、いた、痛いっ」

「嘘つかないの。気持ちいいくせに」

 イヌのシャツの上から、乳首をぎりっと強く抓ってやる。

 そうするとイヌがびくりと腰を突き上げてきた。

 あ、もうイキそうなの?

 そう思った瞬間、僕は動くのもいじめるのもやめる。

 そんな僕に、イヌは目を見開いた。

 なんで僕がお前のこと気持ちよくしてやらなくちゃいけないの? 

 今は躾の最中なんだよ?

 にっこりと笑いかけると、イヌは思い出したのか、快感で赤く染まっていた顔をさっと青ざめさせた。

 ふふ、いい顔。

 そんなイヌに僕はやさしくささやいてあげる。

「……ねえ、そんな顔するくらい、僕に捨てられたくない?」

 ふんわりとほほ笑んだ僕の言葉に、イヌが希望にあふれた目をする。

 僕はイヌの頬をすっとやさしく撫でた。

 躾には傷みを与えるだけじゃだめだからね。ちゃんと飴もあげなくちゃ。

 それにしても恍惚と僕を見つめるイヌは可愛いね。

 学園では俺様として通ってるのに、ほんとに可愛い。

 イヌはほほ笑む僕に、こくこくと必死で頷いた。

「俺を捨てるなっ」

「……ふふ、でもお前が悪いでしょ? 悪いことしたら謝らないと、ね?」

 やさしい僕の言葉に導かれるみたいに、イヌはゆっくり口を開く。

 イヌの言葉遣いがあまりよくないのは、別に気にしてないよ。

「――悪かった」

「ん? 違うでしょ。ごめんなさい、道だよ。はいもう一回」

「? みつ……」

「そう。道だよ。僕の名前。僕はご主人様って呼ばれる趣味も、様づけされる趣味もないから、ね」

 僕がそう言うと、イヌは恍惚とした表情を浮かべ僕を見上げた。

- 11 -
[*前] | [次#]

(10/26)
戻る
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -