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  01


俺は死んだ。
どうして死んだかは覚えていない。
気が付いたら、見覚えのある顔が血を垂れ流して倒れていた。
夢でも見ているのかと思ったが、夢ではなかった。
確かにそこに同じ顔が倒れていた。
なんて無様な姿だ。
そして、しばらく経ってから血だらけのそれを囲み周りは泣き喚く。

俺の体を囲むようにしていたのが人でなく木の箱になった。暗く狭苦しい所だろう。
焼かれていく体に違和感があった。
それと同時に俺は、この世から消えた。
身を焦がした炎が消える頃だった。
ふと視線を感じた。
ミカサだった。
まるで獣を狩るような目でこちらを見ていた。「そんなツラで見るんじゃねぇよ…」イライラしながら睨む。
その女はこちらに近づく。

「…どうして…あなたがいるのですか…?」


目を疑った。
死んだはずの人間がそこにいる。なのに周りの人は気付かない。
エレンに話しかけても、夢でも見ているじゃないかと否定される。アルミンにも同じことを言ったが、こんな場で冗談は良くないと完全に否定された。
私も嘘だと思いたい。死んだ人間がいるはずがない。が、その人間が自分を焼かれているのをボーっと眺めていた。
炎が消えみんなが解散する頃、居てもたっても居られなく、それに声をかけてみようと見ていた時、かつて生きていた男の声が聞こえた。
私は確信した。この男は生きていた。思い切って声をかけた。
その男は「は?」と声をこぼしながら、睨む。意味が解らない。
なぜ、そんなに睨まれなければならない。

「…その、みんなを騙していたんですか?」
「なんのことだ…」
「あなたは死んだはずです。死体が喋るわけがない。死んだのは影武者ですか?」
「…それは、こっちが聞きたいくらいだ…」

こちらが聞きたいことだった。みんな彼の死を嘆いていた。
兵長の死は突然だった。
彼の怪我も完治し、これから壁外調査も軌道に乗り始めた頃だった。
突然すぎる死に周りはともかく、私も驚いた。そしてその理由にさらに驚く。
彼は夜、外で何者かに襲撃された。
巨人でなく、人間に殺されたのかもしれないのだから。

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