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  11 Ein einsamer Soldat


Ein einsamer Soldat

俺は今までたくさん死んだ。
どうしてこうなったのか、俺にはわからない。
嘘を言っているように見えるが、残念だが事実だ。
どうしてそうなったのか説明できないから、余計に残念だ。
お前はきっと本当のことを言えば鼻で笑うだろう。
きっと今も笑っているだろう。
誰よりも淡々として、なにより俺のことを哀れな目で見ないだろう。
そして、お前はいつも通りに睨みながら俺に、いちゃもん付けるんだろうな。
それがお前らしいと俺は思う。

地獄のようなクソみたいな時間だった。
俺は何度も選択を迫られた。
その都度、悔いの残らない選択をした。
だが、その選択をしても悔いが残ることはあった。
前回は大丈夫だった。だから今回も大丈夫。
そんな甘い言葉は通用しない。
俺の選択で彼らは死んだ。
どんなに悔やんだって、敵を憎んだって、戻らない。
だが救えるものは救いたかった。

繰り返した地獄の中で、お前は初めての出会った存在だった。

トロスト区奪還作戦後のエレンとアルミンを助けた時、お前がいた。
俺は見間違いだと思っていた。
審議所で再び会ったとき、それは見間違いではないと確信した。
だがどうだ。
お前は俺を殺すような目で見てくる。
久しぶりに楽しくなった。
まさかお前のような奴に出会えるなんて思っていなかったからだ。

そして、エレンを女型から奪還する時にまたお前と会った。
お前は容赦なく俺に噛みついてきたな。
エレンのことしか眼中にない。
それほど大切にしているのはわかるが、もっと手段があるだろう?

そして俺は、お前と訓練することを選んだ。

お前との訓練は淡々と進めて行った。
俺自身教えるのは上手な方とも思わない。
だからと言って熱心に教えるつもりもなかった。
お前も一から説明されるよりも、見て、感じての方が効率良いと思った。
その方が、お前がお前らしい戦い方を学べるだろう。
以前よりは多少だが、強くなったと思う。
だが、俺はお前を褒めるつもりは無い。
俺がお前を褒める時は、お前が俺を超えた時だと思え。

改めて思い返すと、兵法裁判ではメンチ切るわ、上官の俺に普通に陰口を言いやがる、食欲のない俺に無理やり食わそうとするわ、俺の馬を手懐けやがるわ、勝手に立体機動装置を市街で使ったと思えば、またエレンのことで暴走しかける。
お前はとんでもない奴だ。
俺が今まで見た中で上位に、いや一番とんでもないやつだ。
だが、俺はそんなお前が面白くてしかたなかった。
俺は理解者が欲しかったわけでも、お前に助けてもらいたかったわけでもない。
ただ、お前なら死なない気がした。
お前は俺の前から消えないと思った。
それは確証のない、ただの思い込みだ。
だが、お前と話せば話すほど、近づけば近づくほど怖くなった。
あの日、お前の涙を見てふと思い出した。
怖くなった。
また、失うのが怖くなった。
気が付けば、俺はお前を突き放していた。

突き放してもお前は平然と兵団にいる。
図太い神経とでも言えば良いのか。
それとも俺への対抗心か。
お前がなにを考えているかわからんが、俺は後悔している。
悔いのない選択をいつもしているつもりだ。
こればかりは悔いが残っている。
もっと選択肢があったのにな。
本当に悪いことをした。
もし、またお前に会うことが出来るのなら。
その時は、自分に嘘をつかない素直な選択する。
選択のその先に囚われることのないように。
自由な道を選ぶ。

ミカサ。
ありがとう。
さよならだ。

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