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  07 Die beiden sind ähnlich


Die beiden sind ähnlich

あれから数日経った。
あの日以来、私は兵長とは会話はおろか、目すら合わしていない。
むしろその方が良かったのかもしれない。
私は向いていない。
それは兵長に言われる前から、わかっていた。
私は自分の命よりもエレンの命を優先するから。
あまりにも自己犠牲が多い兵士だ。
…きっと、そんなの誰が見たってわかる。
兵長はそんな私に嫌気が差したのだろう。
でも、私は兵団をやめることはしなかった。
なにも無かったように、いつも通り過ごしていた。

そして、今日、壁外調査に出る。

「おい、ミカサ。お前、俺と班は別だろ?アルミンと一緒じゃなかったか?」
「…うん。そう」
「なんだよ…」
「…その、気をつけて…」
「もう俺は一人で巨人を倒すことが出来るから、心配すんじゃねぇよ」
「…わかってる…その…」
「ん?」
「兵長を…いや、なんでもない。頑張ろう、エレン」
「おう…っておい!待てよ!ミカサ!どういう意味だよ!リヴァイ兵長がどうしたんだよ!」

エレンが心配なのは当たり前。
だけど、なんだか今日は兵長の方が心配だった。
でもそんなの気のせいだろう、きっと。
あの人は巨人に食われても、腹掻っ捌いてでも出てくるだろう。
きっと。

***

壁外調査が始まった。
多くの住民に見送られ私たちは壁の外へ馬を走らせる。

「…ミカサ…」
「なに、アルミン」
「…今日はいい天気だね…」
「そうだね」
「…その、壁外調査には持って来いだね…」
「アルミン」
「…な、なに…?」
「本気で言っているの?」
「えっ、いや…その…」
「…」
「ミカサ…どうしたんだい?そんなに悲しい顔して。エレンと喧嘩したの?」
「…エレンとは、してない…」
「えっ?」

「奇行種がいるぞ!!!」

「!?」
「…こんな時に…」

前方数十メートル先に奇行種。
このくらいの遠さなら逃げれば問題ない。
黒の煙弾を撃つ。

「…あっ…!」
「…!」

奇行種が前方に居た兵士を掴んでいる。
そして掴んだものを口へ運ぼうとする。
その姿は「気持ち悪い」ただそれに尽きる。

「ミカサ!?」

アルミンの声が聞こえる前に私は行動してた。
全速力で馬を走らせ、その巨人の元へ急ぐ。
奇行種だろうと関係ない。
平地だろうと関係ない。
救えるものは救う。
アンカーを奇行種の脛に刺す。
そしてそのままアンカーを巻き取る。

「…っ!」

声は出さない。
巨人に気付かれるから。

「…っ!!!」

アンカーを巻き取った勢いで足を支える筋肉を削ぐ。
そして、アンカーを外すと勢いよく上昇する。
身体を曲げて回転を付ける。

目標は一点。
うなじのみ。

「…っっっ!!!!!」

そのまま回転し、うなじを削ぐ。
巨人は気が抜けたように倒れた。
…仕留めた。
捕まった兵士の無事を確認して、すぐさまアルミン達と合流した。

***

合流したアルミンの表情は真っ青としていた。
私は、その表情に少しまずいと思った。

「ミカサ、いくらなんでも今のは無茶だったと思うよ!」
「…そんなことはない…と思う」
「あるよ!」
「でも、きっと…」
「?」

きっと?
きっとどうしたの?
自分が口走ろうとした言葉に焦る。

「…きっとリヴァイ兵長なら、そうしたはず…」

あの人だったら、きっとそうした。
仲間を、大事にする人には違いないから。
いつも誰かを気にかけているから。
この人なら、多少無茶をしてでも救えるものは救う。

「…いや、なんでもない…」
「でも、さ」
「?」
「ミカサ、昔より強くなったよね」
「え?」
「いや、ミカサは前から強いけどさ。以前より立体機動装置を使いこなしているっていうか…。今の戦い方、ミカサに合ってるなって思った」
「…」
「でも、無茶は良くないけどね」
「…ありがとう…」

少し照れ臭かった。
褒められるのは、嬉しい。

でも引っかかった。
今の戦い方は私の戦闘スタイルではなかったから。
別にあの人から直々に教えを乞えた賜物ではない。
むしろ教えた貰ったものは、皆無。
なのに、自然と身体が動いた。
悔しい。
とても悔しかった。
私はあの人に似てきたから。

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