『ズボッ』と言う音に反応して、俺と虎若の足が止まる。「今、何か聞こえたよな?」「…あ、やっぱ団蔵も?」「まぁ、今の聞こえなかったら可笑しいというか…」「耳だけは良いもんな、お前!」「…褒めてる?それ」「え、あ、うん」そんな会話をしつつ虎若が音のなった方に向かう。俺も、その後ろに続く。
「…」
「何があった?」
「…兵太夫が作ったと思われる、落とし穴がある」
「はぁ?じゃぁ、誰か落ちてんの?」
「それが…誰もいないんだよ」
「…え、」
俺は虎若の隣に行き、穴の中を覗く。…確かにそこには誰も居ない。でも、誰かが落ちないと落とし穴なんてものは、穴が開かないわけで…
「…誰か、侵入者がいる」
「まぁ、そうなるよな」
「とりあえず、先生に」
「いや、あんまり事を大きくするのも良くないだろ。それに俺たち、六年だぜ?今は、は組の奴らだけに知らせておこう」
「了解」
そう言って俺は兵太夫と三治郎の部屋、虎若は庄左ヱ門と伊助の部屋に向かった。
これは事件だ
(俺たちだけで、なんとかする。絶対に、)
101022 頭良さそうに話してるほうが虎若です。そのつもりです。