長い長い春休みが終わって、私が花屋のバイトに戻れば、知らない間に新しい子が入った事で話題は持ちきりだった。噂によるとどうやらイケメンの男の子らしい。
「もう、なまえさん休みすぎだから会えないんですよ!」
「私だって、実家に帰りたくだってなるさ」
「ほんとにイケメンなんだよねー」
高校生のリカちゃんと、店長のまことさんがニヤニヤと笑いながらそう言った。二人ともどうやら、そんなに新しく入ったイケメン君が好きらしい。もちろん、そこまで言われてしまえば女である私だって気になってしまう。「今日はこないの?」と尋ねれば、「今日は私達三人だけです」とまことさんが言った。なんだ、こないのか
「なまえさんも、気になってきました?」
「そこまで言われると気になっちゃうよ」
「それじゃぁ、名前だけ教えてあげますね!」
「うん」
「その、イケメンの名前は」
噂の『ククチ』くん
(ククチなんて、初めて聞いたわ)(ですよねー!でも、またそれがレア感でよくないですか?私、結婚したら『ククチリカ』になるんですよ!)(話し早いなー)