運が悪かった、そう言ってしまえばそこまでだが…今の私にはその一言しか言えなかった。清純と付き合ってから何も良いことが無い。まるで、彼に私の運気を吸いとられてるみたいだ。そんな運のない私に気づいたのは、清純の隣で腕を組む女で。その女は私をみて、気持ちが良いくらいの見下した笑顔で私を笑った。ふざけんなよ、ブス。お前の隣に居るオレンジはな、誰にだって腰振る変態なんだよ。女だってだけでホイホイ釣られるアホなんだよ。そう思って睨み付けてやれば、そのブスは清純に何か囁いて頬にキスをした。…帰ろう。久々に洋服なんか買いに来るんじゃなかった。清純とのデートで着ようと買った花柄のワンピースも破いて捨ててやる。そう思って帰ろうとすると、清純と目が合った。清純は私が見てもわかるくらいに顔が青ざめていた。そして私の名前を叫びながらこっちに向かってくる。私はその声をシカトしながら買ったワンピースの袋をズルズル引きずりながら歩く。




「ちょ、ちょっと待って!なまえちゃん」

「…」

「これには事情がね、あってね!」

「…」

「…お願い、話を聞いて!」




情けない声でそう言ったすぐ後に「て言うか、袋!」と言って私から袋を取り上げた。中を覗いたんだろう、直ぐに明るい声で「このワンピース可愛いね!」と笑顔を作った。ワンピースは既に破けている




「これ、凄く可愛いね!いつ着るの?あ、来週のデー」

「着ないよ、そんなの」

「なんで?絶対なまえちゃんに似合うよ!色だって、俺凄い好きだな」

「デート、しないから」

「…え」

「…別れよ、清純」




思わず溢れた言葉は清純にも届いた様で、さっきまでの笑顔は消えて真剣な顔で「嫌だ」と言った。




「そんなの絶対嫌だ。…ワンピース、新しいの買いにいこ。」

「いらない。放して!」

「ワンピース買ったら、来週はそれ着てデートしよ。確か見たい映画あったんだよね?それみて、ご飯食べて、手繋いで歩こ」

「清純!」




私が叫ぶと清純は「別れるなんて、言うなよ」と今にも泣き出しそうな顔をして私を見つめた。…何それ、最低だよ。そんな顔して、そんなこと言ってさ。自分のしてること何にも分かってないのに…。




「…大嫌いだよ、清純なんて」





不純物だらけの世界は苦しいだけだから
(一番嫌なのは、君を嫌いになりきれない私)





110712 珍しく長い文章^^浮気したけど別れたくない千石。最低(なのは私だ^^^^)



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