大きな音をたてて降る雨を、一人ぼうっと見つめていると、目の前に大きな影ができた。振り向けばそこに居たのは越野だった。いつもこの時間は部活の筈なのに、なんて思っていると「この雨で体育館が雨漏りしてんだよ」と、私の疑問を一気に解決してくれた。え、なに?もしかして以心伝心?ちょっと、ときめくじゃないか。
「この夕立、やべーよな」
「そうだね。ていうか、夕立なんて可愛いもんじゃないね」
「確かに」
「明日になって、道路が冠水して海みたくなったらどうしよう」
「ねーよ」
なってたら、の話じゃんか。はげ。と心の中で呟く。口にだすと、越野の小言がうるさくてたまらないから言わない。
「つーか、お前傘は?」
「無い」
「折りたたみとかは?」
「んなもんねーよ」
「可愛くねーな」
「シバくぞ」
折りたたみ位持ってろよなー、と文句を言う越野の手には黒の折りたたみ傘が!うっわー、今時の男子高校生が律儀に折りたたみ持ってんのかよ、きんもー。と思いつつも、越野と腕を組む。キモい、確かにキモいよ。でも、そんな律義な越野が好き。大好き!てなわけで、
「一緒に帰ろ、ダーリン」
「無理」
「はやっ。少しは考えようよ」
「お前の家、反対方向だろ!」
「良いじゃん!後でガリガリくん奢るから!」
「やっす!」
と一言言った後に「めんどくせーな…」なんて、そんな事言いつつも越野は私を家まで送ってくれるようで、いつもとは逆の方向に曲がって歩いてくれた。越野って、やっぱり優しいなぁ。好きだなぁ、そうゆうとこ。
「ちゃんとガリガリくん奢れよ?」
「勿論!あ、越野」
「ん?」
「大好き!」
「ばっ!お前、」
「あと、ありがとう」
「…おう、」
私と彼と雨
(丁度良い関係)
越野が凄く好きです