(現パロ)







久々にタバコをすってみた。高校生のときに、親に反発したくてなんとなく吸っていたけど、大学生になって初めての春にやめてしまった。本当にそれだけだったから。私も若かったな、と今になって思う。二十歳過ぎれば誰だって吸えるというのに。
一人でブランコに座って吸うタバコはなんだか、苦いとしか感じられない。前はもうちょっと違う味とかしてた気がするのに。




「タバコやめたんじゃなかったのか?」

「文次郎」

「久しぶりだな」

「…公園がここまで似合わない人、居るんだね」

「…一発殴ってもいいか?」




そういって私の隣のブランコに座る。うわ、マジで幼児泣くよ。ブランコ乗った鬼だな、ほんと。文次郎に会うのは高校の卒業式ぶりだった。卒業式の日に別れを告げられてから連絡も取っていないから、本当にそのときぶり。私は短くなったタバコを消して、また新しいタバコに火をつける。煙だけがもくもくと上がって、いつの間にか空と混ざる。私もいつかこんな風に社会に混じって消えてしまうんだろうか。やだな、寂しいな。




「タバコのこと、何にも言わないんだね」

「もう、お前も大人だろ。体調管理は自分でするのが普通だ。そんなこといちいち言わねぇよ」

「…昔は厳しかったくせにね、」

「もう、昔とは違うだろ。子供じゃないんだ」




昔と違う、確かにそうだと思う。私も文次郎も違う大学に通って、春からは社会人だ。立派とはいえないかも知れないけれど、自分でお金を稼いで自分で生活をしていく。そうだ、昔と違う





「そっか…。そうだよね、」

「ちょ、おまえ!何で、泣いて…」

「昔と違う、ね」

「…」






それから文次郎は何も言わずに俯いたまま小さく「タバコなんて、やめとけ」とつぶやいた。そんなやさしさがなんだかすごく、すごく痛い。ふーっと、タバコの煙を吐く。タバコってこんなに、苦いだけだったかな?





上がる煙
(私だけ、前に進めない)












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