朝、目が覚めて襖を開ければひんやりとした空気が部屋に入り込んできた。私は急いで襖を閉めて、少し厚手の羽織を着る。春が確実に近づいているとは言え、この寒さは反則だぜ。早く暖かくなればいいのに。そんなことを思いながら廊下を歩くと、外で竹谷が委員会の作業をしていた。「朝早くから大変だね」と声をかければ、「みょうじか、おはよう」と爽やかな笑顔で挨拶をしてきた。私も「おはよう」と返事をする。



「委員会の仕事でしょ?」
「ん、そうだよ。春になると、いろんな動物が冬眠から目覚めるからな。準備しないと」
「伊賀崎くん、喜びそうだね」
「そうだなー。…今年は毒虫たちを逃がさないようにさせないとな」



「探すの大変そうだもんね」と哀れみの言葉をかけると、ため息を吐いて「まぁ、しかたねぇけどな」と苦笑していた。竹谷って、本当にいい奴だと思う。



「そんなことより、お前…。着すぎだろ」
「いやぁ、今日寒くってさ」
「もうすぐ四月だぞ?」
「そんなこといわれても」


手とか意外と冷たいんだよ。と両手を擦ると、竹谷はそんな私の手を握って「うわ、本当だ」と驚いた。いや、驚きたいのこっちなんだけど、何で急に手握ってんの?なんか、恥ずかしいんだけど。そんな私を気にせず竹谷は「手、温まってきたかー?」と声をかける。あれ、確かに…


「…温かい」
「だろ?」
「竹谷、手…温かいんだね」
「まぁ、みょうじよりはな」


「よし、これで平気だな」と一人笑顔で納得して、私の手を離す。私はとりあえず「ありがとう」と伝える。竹谷はそんな私に「また冷たくなったら温めてやるよ」といって、委員会の道具の片付けに行ってしまった。私は、さっき温めてもらった自分の手を見つめる。…馬鹿野郎、そんなに何回も温めてもらったら心臓がもたないよ。そう思いながらも両手をぎゅっと握って熱を逃がさないようにしていたのは、秘密だ。






愛を孕む君の手








110327 早く暖かくなればいいのに…。竹谷は、無性に書きたくなります。ほんと性格イケメンですよね、彼。


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