「夢前って、嫉妬深そうだよね」
「え?」



しとしとと降る糸のような雨を見ながら言った一言は、特に意味は無かった。ただ何となくポツリと出た言葉だった。だから、夢前にも軽く受け流してもらいたかった。今となっては、遅い話だけれど。



「なんでそう見えるの?」
「え、いや…なんとなく、だけど」
「何となくで、そんな失礼なこと言うんだ」
「…ごめん」



顔はいつもと変わらないが、雰囲気が一気に変わった。私はぞくりと背筋が凍るのが分かる。今の夢前は…いつもと違う。夢前は「何で謝るの?別に怒ってないよ?」と言ったが、これは確実に可笑しい。私はその場を逃げたくて「用事、あるから」といって夢前の側を離れようとした。



「ちょっと待って」



夢前が私の手首を掴む。ひんやりとした手が、私の体温を奪っていくような感覚がする。



「さっきの言葉だけど、みょうじの言うように嫉妬深いよ」
「う、ん」
「でも、その所為で傷つけたりはしない」
「…あの、」
「そのかわり、僕だけしか見えないように閉じ込めちゃうかもしれない」
「…」



「なぁんてね、」といって夢前は私の掴んでいた手首を離し「呼び止めてごめんね。用事あるんでしょ?」と笑った。私は、その言葉に返事もせずに急いでその場を離れた。がたがたと震えがおさまらない。私はその場に止まりさっき掴まれた手首を自分で掴む。その手首は、さっきと変わらず冷たいままだった。




歪む愛の手







110308 夢前はDVとかはしないけどその代わりに監禁はしそう。三郎もどっちかって言うとこの気があると思う。っていう妄想。監禁だめ、ぜったい。とりあえずこれは消す可能性が、高いかも。




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