<現パロ注意>
携帯のバイブがなって、俺は画面を見る。そこに記された文字は「非通知」の三文字。俺は公衆電話からの相手に一言言ってやろうと、通話ボタンを押した。
「もしもし、」
『もしもし、』
「公衆電話からかけてくるんじゃねーよ。携帯使え、携帯を」
『川で落としたときから、使えなくなっちゃってさー!でも、一応持ってるんだけどね!携帯だけに!』
そういってケラケラと笑うこいつに溜め息が出た。ふざけんな、全然笑えねーんだよ。お前のギャグセンス、と言ってやりたかったが言いたいことが他にも沢山あったため、その辺は省略してやった。
「おい、何でもいいけど…お前、いつ戻って来るんだよ」
『は?何言ってんだよ!戻れるわけないだろ!お別れしたじゃん、大分前に』
「あんな一方的な別れあるか」
『いやいや、それは私も不本意だったし』
「…」
『…』
少しの沈黙。不本意って、意味わかんねーよ。その辺しっかりしろよ。そんなこと考えていると、沈黙に耐え切れなくなってかあいつが喋りだす。
『…もういい加減、元気出してよ。見てるこっちが辛気臭くなっちゃうよ。』
「…勝手にいなくなって、何言ってんだ。どの口が言ってんだよ、え?近くに居たら塞いでんぞ。」
『唇で、的な?』
「ちげーよ、饅頭でだよ」
『ちょ、苦しいのはやめて!』
そんな会話をしながら、俺はふぅ、と溜め息をつく。
「…寂しい、」
『…そんなこと言わないで』
「…会いたいし抱きしめたい、キスもセックスもしたい」
『…団蔵』
「なぁ、俺の寿命って後どれくらいなの?お前に会えるのは、何年後なの?」
『…きっと80年後とかじゃない?』
「、そんなの」
長くて、耐えられねーよ。今すぐに会いたいって言うのに、こんな気持ちをジジィになっても抱えて生きるなんて無理だって。なぁ、そっちのお偉いさんに言って俺の寿命縮めてくれよ。俺の寿命縮めた分、他の誰かにやるから、お願いだよ…。会いに、行きたいんだよ。早く会って、抱きしめないとお前のすべて忘れちゃいそうなんだよ。
体温も匂いも、温かさも。
愛に生きたい
(臆病な俺は、お前に会いに行くのすら神頼みだというのに)
110306 死んだ彼女から電話がかかってきて、うほ!会いたくなっちゃったぜ。な団蔵の話。