白い世界
きょとんとしたままのアリアはこちらに走ってくる人物を見つめていればそのままアリアを抱きしめて第一に『ごめん!』と謝ってきた。
置いて行ってしまった事に対してか、それとも何かの罪悪感に対してなのかはアリアにはわからずに、抱きしめられたまま固まってしまっていればぞくりと寒気を感じてすぐにユリアラの胸を押して離れた。
「…あ、ご…ごめんなさい。」
「……いや、僕こそごめん…あの時僕がちゃんとしていれば…!…でも、無事でよかった。あのままいなくなったなんて思ったら、どうしても探したくなってさ。……なんだか、お前、不思議な奴だな。」
「私は、そんな不思議だなんて…。」
『まあとにかくさ。』とユリアラは雪まみれのアリアの服を軽くはたいてあげた後に、肩に自分が羽織っていた軽くも熱を逃がさないコートをアリアに羽織らせた。
どこに行くのかもわからないアリアは今はただの剣のように話さないユリアラを離さないかのように腕の中に閉じ込めた。
ここからしばらく進めばユリアラが本拠地とする地上軍基地があると聞いてアリアは地上軍跡地に来たことを思い出す。
ユリアラに手を引かれながら雪道を歩いていればアリアの脳裏には短い仲間との記憶がまるで巡る様に流れた。
ここは千年前であって、みんなといた場所ではない。
これはまたエルレインの仕業なのかもしれないと、アリアは考えてはいるのにそれはどこか違うような気がしてならなかった。
アリアの心の中は混乱しているようで、考えがごちゃごちゃしていた。
そんな混乱した状態でいれば本当に近くに基地があったようですぐに入り口の兵士に中を通された。
そのときアリアを凝視した兵士はそばにいた兵士に耳打ちしながら何かを話していたが、気づいていないアリアとユリアラはそのまま中へと進んでいく。
「でも…お前がいなくなって数日経ってたのに、よくも生きていたな…本当に。」
「え…?」
「コラー!まーちなさーい!!」
入り口からすこし進んだときに突然さえぎるように甲高い声とともに何かが目の前を通り過ぎて、そして目立つくらいのピンク色の髪をして目立つ彼女がその何かを追いかけて行くのをユリアラはあきれたような表情で見ており、その後気にするなというようにアリアの手を引いてそのまま奥へ進んでいく。
そのとき彼女と何かが行った場所を見ていればそこにはみたことある黒い服を身に纏った後姿をアリアは見つけて目を見開いた。
だけどアリアは唇を噛み締めて手を引かれるままにただ後姿を眺めるだけに留まった。