更に
アリアが目を覚ましたのは雪に包まれた世界。
純白の世界にそっと起き上がり、見回した。
見たことある気がする、と思った時そばにユリアラが雪に埋もれるようにあったのを見つけてすぐに雪から出してあげると『助かった…!!』と声をあげた。
その勢いでアリアはユリアラを思い切り抱き締めた。
「ユリアラ…ユリアラだ…!」
『くすぐったいって、アリア…。ったく、どれだけここに放置されるのかと思ったぜ…はあ。』
安堵の溜息を吐いたユリアラにアリアは涙目になりながら抱き締めていれば遠くから声が聞こえてきてそこを振り向けば人間の姿のユリアラがアリアに向かって走って来ていた。
――――――――
アリアが目の前に消えたことに皆は驚きを隠せないでいた。
どうしてかと思っていれば、時間切れと言うように皆はその場所から時間を移動し、エルレインのいる場所へと移動してきた。
皆がこの場所に来る前、改変された世界にいた。
そこはレンズにより生きながらえていると思い込まれた人々だらけだった。
そして何より、かつての英雄達が使っていたラディスロウが浮かんでいたということに、よく分かっていないカイル以外は皆焦り、驚いた。
そして全ては過去の天地戦争の歴史を変えられたことによって、改変された世界、変えられた現代だった。
皆はエルレインの元へと行き、問い詰め、追い詰めたつもりでいたが、追い詰められていたのは自分達であったとその後、知ることになる。
それは、皆がそれぞれの記憶を幸せにしたものだった。
神から与えられた幸福、偽りの幸せ、そんなものを見ていた皆は辛い記憶があるからこそ、今が幸せだと、自分を取り戻した。
そして、ジューダスは裏切り者のリオン・マグナスだと発覚するが皆が知っているのはリオン・マグナスではなくジューダスだと、そう訴え、ジューダスは見ていた悪夢を断ち切った。
リオン・マグナスではなく、ジューダスであると。
「オレたちは、お前に奪われた歴史を取り返す!そして、オレたちの本当の幸せを取り戻す!アリアも!絶対に!」
「……無駄なあがきはよすがいい。お前たちが、どう思おうと何一つ変えられはしない……あいつも、お前たちは助けられない。」
エルレインの言葉に、リアラは首を振って否定した。
変えられる、と。
人の思いは、何だってできると。
「だから、今から時間移動をするわ。時代は、天地戦争のころ。」
「歴史を元に戻そうってわけか!」
リアラの言葉にロニはグッと握り拳を作り意気込むようにそう言い、ナナリーは『やってやろうじゃないか!』とにやりとした。
そしてジューダスも頷き、それを確認したようにカイルは歴史を取り戻しに行こうといえばリアラは微笑み返事を返す。
そして、瞬時に光が皆を包み、膨らんだかと思えば収縮して皆はエルレインの前から居なくなった。
残されたエルレインは悲しそうな表情を浮かべていなくなったものたちが居た場所を見つめたままそっと呟いた。
「おろかな……その先には悲しみしか待っていないというのに……。また、一歩……死へと向かうというのか……。…………アリア・エクリアよ……。」
最後にアリアの名前を呟いたエルレインは先ほどまでの表情はどこへやら、口元には笑みを浮かべており、またどう利用してやろうかとたくらむ表情だった。