せいとし
私は、死んだ。
死んだ、筈だった。
もう、ミアに会えないんだと、もう生きていないんだと、分かった。
じゃあ、どうしてこんなにも体は痛むんだろう。
動きたくない。
その時、突然体が水中に投げ出された。
いきなりのことで、目を見開いて手足をばたつかせて、必死に泳ごうとするがまた死ぬというのが浮かんで適当に助けを乞うが、流れが早くて上手くいかない。
「え、ちょっと!?」
誰か、と願った時に女の人の声が聞こえて、そちらに意識を向けた。
助けて、ただそれだけ。
「今助けるから待ってなさい!カイルー!ロープ持って来て!」
女の人は懸命に私に呼び掛けてやっとロープが来たのかもう一人声が聞こえてきた。
「母さんロープ…って、うわあ!人が溺れてる!」
女の人が私の腕を掴んだ時に私は意識を手放した。
ああ、私、死んだんじゃないんだ。
よかった反面、喜んでいいのか分からない。
人は死んだら天国とか地獄に行くって、本に書いてあったし、色んなお話にも書いてあった。
じゃあ、ここは天国?私は死んだけれど、天国で助けられたの?
そうだとしたら、嬉しい。
天国でも、のんびりと過ごせるんだ。
ミア、私、天国でミアを見守っているね。
大好きな、ミア。
私、ミアが大好き。
たった一人の、私の家族だから。
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