□□□□リ
「…は?今、なんて…?」
私はミアから聞いた言葉に驚いた。
私に弓を持たせて、逃げるように言い放つ。
しかし、意味がわからない。
理由も何も話してもらっていない、なのにいきなり逃げろとは意味がわからなかった。
『世界を預言に詠まれない世界にする為、レプリカだけの世界を。』
『彼女が病に?冗談を。意図的な死だ。』
『もしも、アリアが使えるなら、一度今行われている戦場に投げ入れる。』
『死んだら失敗作、当たり前だ。切り捨てる。』
『調べたところ、アリアは成長しない体みたいだな。』
『これが、本当の化け物、か。人に成り損ねた、化け物。』
『知られた、か。まあ、想定内だ。』
『裏切り者は殺せ。アリアは……機械に繋いで、記憶を消す。』
『う、…あ…ああっ…!!』
『アリア、アリア…!!…っ!?』
――一時の幸せは、楽しかったか…?アリア、エクリアよ。
――――
―――
――
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最初はゆったりと流れていた時間は、加速していき走馬灯のように流れていった。
真っ白で上も下もない空間につい先ほどまでしっかりと動いていた人物は今では横たわり、瞳には光が差し込んではおらず、口からはだらしなく唾液が顎を伝っていた。
「残酷な事だ…お前の記憶を覗けばこんなにも、悲しい人生だったとは…。アリア・エクリアよ…お前は何度も死んでいるのか……。」
『可哀相に、可哀相に。』と繰り返す、横たわるアリアの前で白を基調とした服装に身を包む聖女は悲しそうな表情を浮かべていた。
全てはエルレインの仕業だった。
アリアを連れ去り、改変された世界での自分の有り場所に連れて来て、そしてエルレインの作り出した世界に閉じ込め、アリアの記憶の奥底を、覗いていた。
「お前は別世界のもの…そして、コピー、か。利用する為に生まれたが、別世界では失敗したようだな…。」
横たわるアリアに語り掛けるエルレインだが、反応の示さないアリアを都合よく思ったのか膝をつき、アリアの顎を掴み顔を無理矢理、合わせた。
思考停止したように話す事も見る事も出来ていないアリアは人形も同然。
「……さあ、走馬灯のように流れた記憶を。今度は、よく、見るが良い…。お前は、どうなったのかを…それを、あいつらにも…。」
不敵に微笑み、そっと頬を撫でるようにした直後にまた、アリアの頭の中に映像が流れた。