あなたの為に | ナノ
□マヤドリ






「誕生日、おめでとう!アリア。」



遅れながらも、私とミア、二人だけで誕生日会を始めた。

誕生日は、生まれた火を祝うものらしい。

いつ生まれたか、なんて忘れてしまったのにミアはしっかりとおぼえていた。


目の前にはミアが作った手作りケーキ。

チョコプレートなものには、誕生日おめでとう!の文字。

私は嬉しくて、じっとケーキを見つめる。

料理が好きなミアは今回に限らず、たまに手料理を振舞ってくれるから、私は興味を持って料理を教えてもらったりもしていた。

不思議と一回の教えで、だいたいを記憶し一人でできるようになる。



「ほら、食べなさい。美味しく、綺麗にできたから。」


「うん……んぐ………、んまっ…!」



言われた通り、口に含めば広がる甘い味に私は笑顔を浮かべた。


ミアの料理には愛情、というのがしっかりある気がする。



「ミア、ミア…私、料理をもっと知りたい…!」


「ふふ、ええもちろん。沢山教えるわ。」



この世界の仕組みについても、知りたいと思い始めた。


今日が私の一歳。

まだ、一年しか生きていない。

それなのに、私には不思議と、気味の悪い感覚が体にはあった。

目の前でケーキを食べる私を優しく見詰めてくれるミアに、私は気恥ずかしくなりフォークをくわえて目を逸らした。


食べて食べて、沢山食べて。

成長して、強くなって。

私はいつか、ここから外に出る。

世界が知りたくて、世界が見てみたくて、私は早く大きくなりたかった。



「……ミアは、私といるの、退屈じゃない、か…?」


「ん?なんで?」



何気ない、ふと思った疑問を投げかけると首を傾げて見詰めてくる。

『やっぱり、忘れて。』と言えば、おかしな子、だなんて笑われてしまった。

そう、私はおかしな子。

見た目も中身も、おかしな子だ。








―――だから、私は自分の体がおかしいと分かっていた。




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