アマヤドリ
私は目の前に映る自分を眺めた。
あれから私は一年、所謂、一歳になった。
成長すると姿が変わると聞いたけど、変わりはない。
首を傾げていればミアが私の頭を撫でながら優しく微笑んでくれる。
「そんなすぐには変わらないわ。数年経てば、少しずつ姿が変わるの。」
「ふーん…?そう、なの…。」
『身長は伸びているかもね。』という言葉に私は毎日測ることにした。
毎日、飽きることなく自分の変化が知りたくて夢中で始めた。
今日はミアと小さな中庭で花摘みをして過ごす。
花は綺麗で、いろんな種類があった。
私は初めて見る花ばかりで、摘むよりもじっと観察していた。
赤、青、黄色に、ピンク、様々な色で食い入るように見つめていればミアは私を後ろから抱きしめた。
どうしたのかと、軽く後ろを向こうとすれば阻止するように強く抱きしめた。
「…?ミア?」
「……あなたは、私の妹みたいなものよ…可愛いわ、大好きだわ、愛してるわ…。大切な、私の妹で…私の…。」
「…。……ミア。ミアは、私を誰かと重ねている、よ…。」
私はそう言葉を漏らせば、驚いたように体を震わせた。
いつもそばにいた私が気付かない訳がない。
私が誰かの写し絵みたいなものだと。
私が誰かのレプリカだと。
「……私は、人ではないもの…。知ってる、よ…。」
「…っアリア……。」
ああ、人はどうしてそんなに悲痛そうな表情をするんだろう。
私は胸が痛い、しかし、何も感じないのは人ではないからなのだろうか。
悲しい、悲しいのに。
私には何が足りないのか。
「……だけど、アリア。あなたはあなたよ。」
「私は、私…。」
『そう。アリア・エクリアよ。』と私を離し、向き合う形になりながら、優しく微笑んでくれた。
私はその笑顔が好きで。
ずっとこれからも、見続けていきたいと思った。
――長く続きもしない、そう分かっていた。