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眩い光



「フォルトゥナが完全な形で降臨すればその瞬間、私たちの役目も終わる。でも、悲しむことは、なにもない。その時こそ、全ての人々が神の愛に満たされる瞬間なのだから。神に愛された世界……苦痛や悩みなどとは、無縁の完全なる世界。これこそが、救いのあるべき姿……。」



エルレインの語りにリアラは黙りとしたまま話を聞いているのみだった。

レンズが舞い、幻想的で、気味の悪い空間を作り上げていた。


話していたエルレインはふと悲しそうな表情を見せ、憐れむようにリアラを見つめた。



「……おかしな話だ。神の、み使いであるお前が誰かにすがるとは。」


「…!!」


「お前が求めているのは、共に歩み、助けてくれる英雄か?それとも……。」


「……。」


「わからない……その先には悲劇しか待っていないというのに。それでもなお、求めるというのか?」



エルレインの言葉に、リアラは首を横に振り、来ないと言い出した。

自分はあの時にカイルを傷つけてしまったと、後悔し戻れないと思っていた。

分かったようにエルレインはリアラを安心させるように語り掛け、手を前に差し出した時に周りに舞っていたレンズが止まり、エルレインに集まっていく。



「大いなる神の御魂を、ここに!そして、人々に永遠の幸福を!」



そうエルレインが叫んだと同時にカイルがリアラを呼ぶ声が響き渡った。


リアラはす驚き、現れるはずがないと思っていた人物が現れた事に表情は少し、嬉しそうだった。

しかし、エルレインは鬱陶しそうな顔で、現れたカイル達に言葉を吐いた。

なんとしても邪魔だと言う風に顔は怒りが満ちており、カイルたちに襲いかかって来た。



すぐさま武器をそれぞれ構え、戦闘態勢に入る。


エルレインは詠唱を始め、それを狙いカイルがエルレインに斬りかかる。


「トリニティスパーク……。」



しかし、エルレインの詠唱は早く、接近していたカイルはもろに当たった。


入れ替わるようにロニがエルレインに突っ込んで行った。

ジューダスも詠唱をし、術を発動したあとすぐ走り出し攻撃を加える。

後方支援はナナリーのみで、“アリア”は何もせずに立ち止まったまま眺めていた。


やっとの思いで、エルレインを纏っていた明るい光が消え、疲れ切った表情をエルレインはしていた。

言葉が途切れ途切れになり、ついにはエルレインは退いた。


カイルはすぐにリアラに駆け寄り、大丈夫かどうかを確かめた。

外見に怪我はなく、平気ではあったが、表情は晴れていない。


カイルの心配する声に、リアラは『……どうして?』と言葉を漏らした。



「えっ?」


「もう来てくれないって思ってた。あんなひどいこと言ったんだもの。嫌われて当然だって思ってた。それなのに……どうして、カイル!?あなたはどうして、わたしのことを……!?」



既に涙声なリアラに、カイルは当然のように言葉をかけた。



「言ったろ。リアラに初めて会った時。君が探してる英雄は、このオレなんだって。英雄は困ってる女の子を助けるもんだからね。どんな事があろうと、必ず。」



その言葉には、どんな思いが込められているのかは、カイルにしかわからない。

しかし、リアラにとっては、この上ない嬉しい言葉だった。

リアラは泣くつもりはなかったが、頬には涙が伝い、濡らしていく。

悲しくて泣いているわけではないと、泣きながら懸命に涙を拭いカイルに弁解するリアラに、思わずカイルは抱きしめた。


すると、リアラの持っていたレンズが眩い光を放つ。



少し離れた場所ではロニ達がほっと一息をつき、二人を見守っていた。


ただ一人、“アリア”だけはその光景を不敵な笑みを浮かべながら見詰めていたが、突然光に包まれてしまい自由が効かなくなった。

それは音も無く起こり、誰一人として気付かなかった。

不敵な笑みを浮かべていたアリアではなくなり、いつものアリアになっていた。






Title「生きる理由が欲しいなら」byたとえば僕が
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