休息
城の中に入り、一番奥の、ウッドロウのいる場所へと来ればカイルすぐさまウッドロウの身を案じた。
衛兵が応急処置は済ませて、医者を呼んだと言うと、みんなは安心したように胸を撫で下ろした。
「あんたたちは、なんともないのか?あのエルレインとやりあったんだ。無傷じゃすまないハズだが…。」
心配するように、周りの衛兵に声を掛けるロニに衛兵の一人は不思議そうな声音でエルレインは何もしないで帰って言ったと言えば、ジューダスは衛兵を見遣り驚いた。
ジューダスのその驚きに皆もジューダスを見ると、話し出した。
「王が倒れれば民衆は混乱し、神団の連中がつけいる隙もできる。今回はその絶好の機会だった。だが、それをしなかった。なぜエルレインは、ウッドロウにとどめを刺さなかったんだ?」
話しながら途中微かに俯き首を横に振るジューダスにリアラも同調するように頷き、エルレインの力なら不可能ではないと言葉を漏らした。
皆が話している時、ウッドロウはゆっくりと体を動かし、玉座に座り直した。
それを視界の端に捉えた衛兵が心配するように駆け寄り支えてあげ、皆気づいたようにウッドロウの方を見る。
衛兵は動かないよう言うが、ウッドロウが心配したのはレンズの方だった。
切羽詰まったように言うウッドロウに衛兵は安心させるように何もしないで帰ったと言う。
しかし、それでも心配は拭えないようでいるウッドロウにカイルが確認するとすぐさま走って玉座の後ろに走っていった。
皆もついて行くように玉座の後ろに行き、頑丈な扉を開けて中を見るが、山のようにあったレンズは一枚も無かった。
ジューダスはウッドロウを襲うことは囮で、本当の目的はレンズだったと分かり、何もしないで帰った理由が分かった。
どう送ったか、なども自分達を未来に送ったくらい強い力な為に、容易いともリアラが話し、そして悔しそうにレンズをどうするのだろうとレンズが何も無い空間に言葉を吐いた。
皆が悔しく、険しい表情の中、ジューダスはナナリーにフォルトゥナが降臨したのは十年前かどうかという問をすれば、そうだと頷いた。
それがどうかしたのかという表情をする皆にリアラは理解できたのか言おうとした時、衛兵が入って来てレンズが無くなったことに驚き、急いで全兵士に城の中を探すように伝え、衛兵は出ていった。
とにかく、報告すべく、ウッドロウの元に行き、報告をした。
部屋を通され、それぞれが定位置に立ったり、ソファに腰掛けたりしていた。
ウッドロウはまた明日話がしたいと皆に言って、それ以外に口を開かなかった。
皆の表情は険しく、口を開くものはおらずどんよりとした空気が漂う中、ロニが口を開いた。
「時間旅行から帰ってみりゃあ、レンズはなし。よくもまあ、こう難問ばかり続くもんだ。波乱万丈とはこのことだな。リアラと出会ってからこっち退屈する暇もありゃしない。」
ロニの言葉にナナリーはすぐさま鉄槌を下した。
頭を押さえ突っかかろうとしたロニにナナリーは真面目な顔で一喝し怒った。
やっとハッとしてリアラに謝るが言葉が見つからずカイルに助けを求めるが話を聞いていなかったカイルはぼんやりとしていた。
その様子にジューダスが声を掛け、皆に休むように言えば、それぞれが休む体制に入った。
そして、ジューダスの目線の先は“アリア”が写っていた。