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拭えぬ違和感





残されてしまったジューダスとシャルティエは少し考えてから部屋を出た。

ユリアラから聞かされた事は今まで気になっていた事でそれが全部というわけではないが知ることが出来た。

アリアの言動はそこから来ている。

そしてこれはジューダスの推測でしかない事ではあるが、いまアリアが喋れるようになっているのはエルレインが近くにいないということ。

そう思考してもおかしくは無いんじゃないか、アリアはエルレインの力により動かされ仲間を傷つけてしまった罪悪感とまた傷つけてしまうのではという恐怖を今のアリアは感じているのでは、ともジューダスは考えてはいたがすぐに消し去った。



「考えたところで、本人の感情を他人の僕が知るはずもない…。」


『坊ちゃん…。』




考えを全部否定してポツリと言葉を呟けばシャルティエはジューダスを気遣うように呼ぶが何も答えることなく少し外をふらつこうと歩き出した。

へとへとになったロニが入れ違うように家に向かってきたのを立ち止まってジューダスが見ていれば気づいたロニが『バトンタッチだ!』と言いたげな目で見てくるのをジューダスは交わすように外に行くと伝えてそそくさと離れた。

ホープタウンの外に出てしまえば砂漠が視界を埋め尽くしており、ナナリーはこの先に進んだのかと考えると大変で仕方ないと感じてくる。

温度変化が急激に起これば途中でばてて倒れてしまうのも安易に予想が出来てもしカイルとリアラが一緒に見つかりこっちに来たとしてもリアラは疲れ切った様子で顔を合わせることになるんだろう。

今はそれを考えるよりはアリアのことを考えるほうが得策かもしれない、しかし今は考えることをしたくないと思っているジューダスはそっと瞼を閉じて暑さで滅入りそうになりながらも思い出に少しばかり耽った。

今そばにいる仲間は違えどかつて旅した仲間といるような気がしてならない。

一番の影響はカイルにある為、面影がちらほらと見えては消えての繰り返し、それが自分自身でも不思議でならなかった。



『…坊ちゃん、そろそろ戻りましょう。心配されちゃいますよ。』



気遣うようにシャルティエが声をかければジューダスは小さく返事をしてホープタウンのナナリーの家へと戻った。

数日、あるいは数週間家の主が居ない為家事はどうするかとジューダスは先程まで考えていたのだが、部屋から突然現れたアリアが前触れもなく自信満々にやると言い出していた。


どうしてか、なんて聞くこともできないジューダスとロニはお互いあまり料理を好まないからなのかはたまた作ることが面倒なのかは、分かりはしない。


しかし、二人は有難くアリアに任せて待つことにする。

調理を始めたアリアの後ろ姿は自分の知っているアリアではないような気がしていたジューダスはまだ分からない秘密が隠されている彼女に違和感を拭えないでいた。








Title「影は影を殺す」by秋桜
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