未来の世界
「いまだに何も見いだせぬ者に、ここにいる意味はない…。帰るが良い、弱き者よ。」
その言葉と共に光は強くなりリアラは悲鳴を上げながら消えていきその場には大きな光が瞬く。
それに飛び込むようにカイルが続けばロニは二人の名を呼ぶと『追うぞ!』と言うジューダスの言葉に飛び込もうとした時アリアの存在を思い出したように直ぐ様引き寄せて三人で光に飛び込んだ。
その瞬間に見えたエルレインの表情はまさか連れて行かれるとは思わなかったみたいで少し驚いており、ジューダスは良い気味だと言いたげに光に包まれながら嫌らしく微笑みながらアリアの手を離さないように握り締めた。
暫くして目を覚ませばジューダスは暑さでハッとして起き上がって周りを見渡し、何処だと確認し始めた時近くで倒れているロニを叩き起こす。
寝ぼけ眼なロニだったが暑さで意識が覚醒したようで『あ、暑いな…。』と零した。
とりあえず移動するべく周りを見渡すが砂漠のようでジューダスはすぐにそこがカルバレイス付近だとわかった。
しかし、近いか遠いかと問われればそれは分からない。
カルバレイスが見えないとなると遠い場所、砂漠の真ん中にでも飛ばされたのかもしれないと分かると今は難しいだろう。
城でエルレインによって遠くまで飛ばされてしまい、しかも攻撃を受けて疲れ切った体では動くのも大変だ。
ならどうするべきか、と考えていた時にロニが何か向こうに見えるらしく目を凝らして先を見れば小さくではあるが町らしきものが見えてお互い顔を見合わせて立ち上がり、足取りがおぼつかないまま歩き出す。
二人はそこに着き小さな町だとわかり、立て掛けてあった木の板でできているそれにはホープタウンと書かれていた。
知らない名前に困惑していた時、小さな子供がジューダスにぶつかって倒れてしまった。
平気かどうか確かめようとしゃがみ込んだ時『わあ!変な人!』とジューダスを指差して直ぐ様立ち上がって去って行き、言われた本人は一時的に固まってしまったが口に出す事はなく『行くぞ。』と言って歩き出す。
そんなジューダスにロニは何も言えずについていくしか出来なかった。
見て回っていたらふとロニは違和感を感じて周りを見渡して今更ながらに一人を忘れていることに気がついて急いでジューダスに知らせようとした時一人の女性が二人に話しかけてきた事でできなくなった。
「アンタ達、ここら辺じゃ見かけない顔じゃないか。」
「…ここは?」
真っ赤に染まった長い髪を高いところで二つに結んでいかにも姉御な女性は困っているんだと気づいて話し掛けたようだがジューダスは怪訝そうに質問には答えないでどこかと聞いた。
分かっていることをわざわざ聞くところは他人をあまりすぐには信用できないと伺える。
しかし、ジューダスの答えに『礼儀がなってないねえ。』と言いながらも先ほど自分達で確かめたホープタウンだと教えてもらいやはり間違いはないと確信した。
「にしても、具合悪そうだね。よかったらウチに来な。ついさっきも倒れてた人を一人見つけて部屋で休ませてるんだ。」
「わりいな。あ、俺はロニ・デュナミス。んでこいつがジューダスだ。」
「ナナリー。ナナリー・フレッチさ。さ、こっちだよ。」
自己紹介をしたナナリーは笑顔で二人を家に招き入れた。