光
アリアはエルレインに言われてからユリアラを何かの布に包んで背負うように背中に戻してから、一拍置くように静止したあと一歩前に進んだと思いきや一気に駆け出してカイルに飛び掛かった。
突然の事にカイルは咄嗟に自身の剣で受け身の体制を取るがアリアは怯むことなくそのまはま剣にパンチを食らわせば、そのまま後ろに勢いよく吹き飛ばされて壁に激突し、気を失ったのか動かなくなった。
いきなり起きたことに他の皆は驚きで動けずにいる。
みんなの知っているアリアではないと、もしかしたら偽物なんじゃないかとも感じ取れるが目の前で拳を構えているからには間違いなくアリアで背中には剣を持ち合わせているが、使用しないと言うところも彼女だからというものだった。
そばで見ていたエルレインはまるで良いものを見つけたような表情をしており嬉しそうにしており、アリアではなくエルレインを見ていたジューダスは顔をしかめた。
アリアは倒れたままのカイルをただ見詰めていつまた動き出すか分からない状況になり、さっきのアリアを見てロニとリアラはあまり動くことができないでいた。
その時ロニはエルレインに向かい斧を振り上げるがエルレインのそばにいつから居たのかガープがロニの攻撃を受け止める。
「エルレインさまには指一本触れさせん。」
「ならばっ!」
ガープの言葉にジューダスはすぐさま剣を引き抜きエルレインに斬りかかるが赤い光が回りを包み込み斬りかかって飛び上がったジューダスはそのまま吹き飛ばされてしまった。
『ぐはっ!』と口から血を多少滴らせながらその場に踏ん張るように立っていたが剣を地面に突き刺しながら方膝をついて口から垂れた血を拭った。
それと同時にガープがロニに対してエルレインと似たような、しかし違うのは持っていた剣で吹き飛ばしたというこどだった。
壁に座り込んでいたカイルは目を覚まして後ろに下がっていた二人を見て起き上がり二人の名を呼べば、まだだと言いたげにすぐさま体制を立て直した。
「人々の救いは神の願い。それを邪魔するものは誰であれ、容赦はしない。」
静かにいい放ったエルレインに対してリアラは両手を目一杯握り締めながら『やめてエルレイン!』と叫びエルレインの前に立った。
自分は敵わないと思いながらもそれでもエルレインの前に立つリアラは勇敢そのものである。
しかし、そんなリアラにエルレインは何の感情も持たない眼差しでリアラを見下す様に見て静かに言い放つ。
「私を止めることは、誰にもできはしない…。そう、たとえお前でもだ。リアラ。」
エルレインの言葉にリアラはハッとしてさっきまでと力強さは何処へやら、後ろに下がりながら首を横に振って嫌だと訴え始めた。
「いや!やめてっ!わたしにはまだここで果たすべき使命が…、」
言い終わるが早いか、突然体が光に包まれてリアラのシルエットしか見えなくなっていく。
皆周りの変化に追いついてはおらずに驚いた表情で見ていた。