まっしろ
揺り篭のように、一定のリズムを刻む。
そのリズムは、抱き上げられて揺れているのか、しかし誰かに、何かに抱き上げられているようには感じられないそれは、まるで自分が浮いているような感覚。
ふと、ゆっくりと薄い何かを開けて前を見据える。
緑色の何かに入れられているようで、体が上手く動かない。
いや、動けないが正解かもしれない。
その時突然小さく電気らしきものが体を通る。
あたし…わたし…私…ぼく…僕…おれ…俺…オレ…。
思考することをいきなり強制され体がびくびくと痙攣する。
薄く開いていた目を思い切り見開いてやっとのことで思考することを遮断されまたゆっくりと目を閉じた。
自分は、何者なのか。
どうして、こんなにも…考えるのか。
真っ暗で、でも真っ白な空間で、考えても分からない。
いや、考えていることさえ分からないのかもしれない。
体が痛む…体が軋む…。
体が…目が…腕が…足が…頭が…首が…。
自分を構成するものがこんなにも知っているのに、何故か分からない。
自分は…何者?
振りだしに戻った時、体が突然重力に堪えられなくなり崩れた。
体に纏わり付いていたものがなくなったはいいが、なんだか気持ち悪い。
崩れ落ちて倒れ固いものが体に触れる。
そこには体に纏わり付いていたであろう液体が溢れるようにあった。
きっとこれは、小さな空間から解放されたということなんだろう。
「やっと、出来上がったか。」
言うこと聞かない体をなんとか頭だけでもと少し持ち上げて上を見上げる。
そこには、人がいた。
「さあ来い、お前は今日からアリア・エクリアだ。」
「ぁ…ぅ、…」
アリア、エクリア?
それは、誰?
言葉が出ない。
思考が遮断される。
考えられなくなる。
自分は…。