だいすき
用事を済ませたカイルくん達と一緒にノイシュタット港に行き船に乗る。
今回は意外と長い船旅になると船長がすごいテンションで私達に教えてくれた。
船が動き出して部屋で大人しくしていた皆だけどまた散り散りになって私一人になってしまった。
闘技場の事をユリアラに怒られてしまったけれどずっと話していたら怒りは収まったようで突然ぷつりと話題が切れて、お互い大人しくなる。
暇になってしまい甲板に出ようとした時ジューダスがこちらに歩いて来たかと思ったらそのまま通り過ぎてしまった。
私は気になってついていけば少し具合が悪そうにしていて、だけど迷っているように見えた。
そっと近付いていくと、私に気付いていたみたいだけどこちらを向くことはしなかった。
ただお互い静かなまま海を眺めていた、その時にぽつりとジューダスが話し出した。
「僕は…。」
「…。」
何も語らないジューダスに私はそっと近寄って左手を握って顔を覗き込む。
嫌がりそうな事だと分かっていても今はこうしなきゃいけないと思ったから、私はそばに立つ。
だけど、ジューダスは振り払うことなくただどこかを見ることなく黙っていた。
「ジューダス!…あ、アリアも。」
駆け寄ってくる足音が聞こえてきたと思ったらカイルくんがジューダスを見て私も見てホッとしているようで何を言うか迷っているような表情をしていた。
私は何かするわけでもなき、ただ二人を見つめた。
二人は少し距離があるとうに感じられて気になったけれども私がいま何か言える訳でもないと思うから黙っていた。
最初に話し出したのはカイルくんの方だった。
「オレ、ジューダスのこと…信じてるから!」
「カイル…?」
突然そう言ったカイルくんにジューダスは海に向けていた顔を少しだけカイルくんの方に向いてぽつりと呟いた。
そんなカイルくんに私はただじっと見つめ、言葉の続きを待った。
言葉を選ぶようにカイルくんは話しだした。
「ジューダスが何歳だろうと誰だろうと、関係ない。オレはジューダスを信じてる!だからさ、一緒に行こう!旅、続けようよ。」
カイルくんの言葉を聞いてジューダスは少し戸惑いがちに「お前…。」と小さく呟いてカイルくんは今度は私の方をみてにっこりと笑顔で『アリアもね!』と行ってきたことに少し驚いたけれども、すぐに頷いて微笑めば突然隣でジューダスがまた後ろを向くのが気配で分かった。
「何故だ?どうして僕を信じられる?何も明かそうとしない僕を…。」
まるで自分に言い聞かせるようにそういったジューダスに対してカイルくんは腕を組んで『うーん…』と唸った。
そんなカイルくんとジューダスに私はきっと邪魔なんじゃないかと去ろうとしたらそれと同時にカイル君が自信満々にいった。
「ジューダスが好きだから、だと思う!」
「…好き?」
その言葉に私もジューダスももちろん思わず復唱してしまった。
私の場合は心の中で復唱したのだけれども、だけどその言葉に私は思わず頷いてしまった。
ほんの少ししかまだ出会って間もない私たちだけども、私はロニもリアラもカイルくんも好きだし、ジューダスも、私は好きなんだと思う。
だから、私はゆっくりとジューダスの方を向いて手を掴んで私もと伝えれば目を見開かれた。
仲間として、私を受け入れてくれた彼を私は好きだから。