ひめた
「…お前か。」
ジューダスがそう言えば私はついさっき渡されたトロフィーを見せる。
一番に、何故かジューダスに見せたくて仕方なかった。
会場からちらりとジューダス達を見掛けて私は無意識に勝ちたいと思っていたら、いつの間にか終わっていてトロフィーと野菜とお金をもらった。
顔が緩んでいるのか分からないけれど、今の私はすごく嬉しい。
勝てたことになのか、それともトロフィーを貰えたことになのか、分からないけれど。
でも、もしどっちでもなかったらと考えてすぐに打ち消した。
そんな私にジューダスは冷たく突き放すような表情をして小さく『馬鹿か。』と言ってきた。
それがよく分からなくてさっきまで嬉しかった気持ちを引っ込めてジューダスを見る。
「そんなくだらんもので勝って、いらんモノを貰って、そんなに嬉しいのか。お前は子供だな。」
「……。」
子供。
その言葉が胸に突き刺さった。
やっぱり私はまだ子供なんだ、こんなことで喜んでしまうなんて、私は子供で、ジューダスと対等ではいられないんだ。
「やる事には今後口出しはしない。だが、お前の身勝手な行動で迷惑が掛かる事に気付け。」
「……。」
『…あーあ、アリアを分かろうとしない奴の言葉だよな、全く。』
ジューダスの言葉にユリアラがいつものように喋りだした。
それに対してジューダスが目を細めてユリアラを睨むように見つめた。
ユリアラはまるで気にしないように話し出す。
『アリアが何にでも興味持つの当たり前だし、見えるものが全部新しくて気持ちが高ぶるのも当たり前。そこに何かあったら触るし見るし、食べ物だったら食べる。なあ、ジューダスさんよぉ?僕の声が聞こえてんなら、あんたに言うぜ?アリアをそこらにいる奴と同じ扱いはやめろ。』
「……。」
ユリアラはそう言ったあと『あー疲れた。』と言ってから黙ってしまい、重いような苦しいような空気が流れる。
どうしていいか分からなくて自分の靴を見ていたらジューダスが私に声をかけた。
私はジューダスの方をゆっくりと見ればジューダスも話しづらいようで間を置いて言った。
「…何か気になるものがあるなら、僕達の誰かに知らせろ。勝手は許さんからな。」
「…!」
驚いてジューダスを見ればそのまま歩いて行ってしまうのを追い掛けようとした時闘技場からカイルくん達が出て来た。
どうかしたのかを聞かれたけれど私は首を振ってジューダスが行ってしまった方向に走って追い掛けた。
今はとてもジューダスと一緒に居たいと思うのは、何故なんだろう。