いし
『アリア!アリアっ…!!アリアー!!』
僕が声をかけても反応しなくなったアリアはぐったりとしていて着ている服はどんどん破れていき、もう大事な部分が隠れていて奇跡に近い格好をしていた。
そこでやっとのこと、カイルやロニ達が現れてくれてボロボロなアリアを見て驚愕していた。
そりゃあいきなりあんな露出度の高いやられた姿を見てしまったら驚きもするが、僕が驚いたのは僕を見付けてそのまま自分の背中に隠すように持ったジューダスの奴だった。
何事かとも思ったが、ジューダスの目は僕のコアクリスタルを見ていて何も言えなくなってしまった。
皆でアリアを助け出して、そのままなんやかんやで船が飛んだと思ったら近くに下ろされてスタンと言う、カイルの父の故郷に来た。
途中でリアラも倒れて、リアラはカイルがおぶってアリアはジューダスがおぶっていた。
しかしジューダスの場合はおぶっているよりは横抱きが正しい。
そこでリアラと一緒に寝かされたアリアはあの時よりもしっかりとした服を着ていた。
スタンの実家のリリスがアリアの服を着替えさせていてバッチリ見てしまった僕はきっとこれは僕の中だけの秘密だ。
その時入れ替わるようにジューダスが入って来て、リアラをちらりと見たあとアリアを見てそばに椅子を持ってきてアリアを見詰めていた。
僕はジューダスにアリアのそばに置かれたから、今この場面を知っているのは本人と僕だけ。
あいつがどういう意図で僕をまるで意思を持つみたいな扱いをしてくるのかはわからない。
眠るアリアは苦しいのだろうか、時々顔が強張ったり泣きそうになったりしていて、そして微かにだけどアリアの口の動きから聞いたこともない名前を口を動かして言うようなかたちのアリアがどういう人物かまだよく分かっていないと再確認させられた。
その時ジューダスが僕を見て、そっと呟いた。
「…いつから、アリアと知り合ったんだ。」
『つい最近。森で出会った。』
やはりこいつは僕が分かるのか、なんて呑気に考えながらジッとジューダスを見ていたらいきなり喚くようにアリアが泣きはじめた。
どうしてかなんて分からない、いきなり起きたことに僕もジューダスも慌ててしまう。
「おい、大丈夫か。」
「っ…、…!」
もちろん、声は出ない。
声にならない声を出すアリアにどうすることも出来ないジューダスに、僕はその反対に声を失ったアリアをどうにも出来ないもどかしさがあった。
僕はそばにいたのに、彼女を助けられなかった。
なんの為にそばにいるのか、分からなくなる。
でも一番わけが分からないのはアリアだ。
彼女はきっと、何もかもに戸惑っているから。