あける
ふと、ふわふわする感覚に目を覚ます。
すると私を覗くように見つめてくる顔が二つあり、一つは髪が緑色で綺麗な女神のような女性と大きくてつぶらな瞳で見詰めてきていた。
それをじっと見詰め返していたら緑色の髪をした女性、確かフィリアさんが視界から消えて『目が覚めたようですよ。』と優しくほかの人に伝えていた。
私はよく分からなくてもう一人の安堵した少女を見詰め返して、その時に記憶が蘇る。
そういえば私はあの人に斬られて、そこから記憶がない。
「アリア!あー…よかったあ…。」
「ったく、心配かけんなよ!」
「よかった…本当に…ごめんなさい、わたしのせいで…。」
間にも泣き出しそうな様子に私は起き上がって頭を撫でてあげる。
そんな私に驚いたのか大きな目をさらに大きく見開いて私を見つめてきたので、小さく微笑めば少女も微笑んでくれた。
暫くして私と少女の姿を眺めたあとふと、フィリアさんが話し始めた。
「あなたは…後悔してばかりですね。」
「え…。」
「後悔は何も生み出しません、だから、…。」
『後悔はしないで次に生かすだけを考えて。』そう言って少女の手を掴んだ。
力強いフィリアさんの瞳に、少女は魅入られているようでしばらく声が出ないでいた時またフィリアさんが話し始めた。
「わたしは、英雄の資格を持ってはいません、だけど…いつかあなたは気づくはずです。」
その言葉にはてなを浮かべる少女に微笑んで『さあ、そろそろ出発なさってはどうですか?』とカイルくんに言って私を支えながら立たせてくれる。
カイルくんは言葉を聞いてロニ、ジューダスの方を振り向いて話しだしたのを私はただ呆然と眺めていた。
少女は自己紹介をして、リアラと名前を教えてくれて、あとはジューダスだけだと皆そっちに振り向くがジューダスはそそくさと外に向かったのをみんな追いかけて行ってしまった。
残された私はどうするかわからなくてフィリアさんを見つめていたら、そっと頭を撫でてくれた。
そのぬくもりが暖かくて目を閉じて感じていたら『あなたも、行くのでしょう?』と聞いてきた。
それに迷わず頷いて傍に立てかけてあったユリアラを抱きしめるように持つと、フィリアさんがじっとユリアラを見てきた。
それを不思議に思って首を傾げさせて見ていたらハッとして『なんでもありません。』と言ったあとに謝って私の背中を押してくれた。
「あなたはこれからきっと大事な何かを見つけられるはずです、今を大切にしてくださいね。」
フィリアさんの言葉はとても気持ちが落ち着くのと同時に自分の中にある悩みを自分で解決させるのと同時に欲しい言葉をくれる。
『ありがとう。』そう口パクで言えば気づいたのか目を見開いたあと何か言いそうなフィリアさんにせを向けてカイルくんたちの後を追った。