ひとりで
「…。」
ただじっと見詰めるジューダスに私は頑張ったと言おうと口を開いたけれどかわりにユリアラがいきなり話し出した。
『ああもういい加減にしろって!僕だって気が長い方じゃないの!分かる!?アリアを嫌うなら構わないけどそこまで好かないっていうなら、僕は黙ってないし怒るよ?ていうかいっそアリアに近付かないで。』
「っ…、…。」
声にならない声でユリアラを抱きしめて宥めようとしながら、ジューダスを見遣ると驚いた顔をしたあとに冷静な表情でやっぱりと言いたげな顔になった。
すると彼の方からも声が聞こえた気がしたけれども、小さく何か言ったあとにすぐさま梯子に向かって行った。
私に目も合わせないで。
その間もユリアラは何かを訴えかけるように話していたけど暫くして黙って下に行こうと小さく言ったので、私は下に向かった。
降りるとカイルくんとロニは待っていてくれてたようで私は二人に笑いかけると行こうと言ってカイルくんがまた手をつかんでくれた。
先に進むとさっきまでの地下水路と違って広かったけれど、異様な雰囲気を醸し出している場所にたどり着く。
何かが居るんじゃないかと思わせる程に。
「うわ!ネバネバしてる!」
「燃やす以外にないかもな…あれに火をつけるぞ。」
出口だと思われる場所にクモの糸のようなものが巻き付いていて出られそうにもないし、それにあまりにも気味が悪くて私はそっぽを向いたけどどこも同じ風景で滅入りそうになる。
すると三人は地面にがっちりと繋がれている何かに火をつけて考え込んでいた。
近付いて見てみると何か切るものがないと駄目みたいで、私は思い出したようにさっき道具箱から見つけたものを差し出すとジューダスは目を見開いて私の手からそれを乱暴に取って石とそれの間を切った。
「ありがとうアリア!これで外に出られるかもだよ!」
「だな。…にしてもアリアに感謝しねえとは、いけ好かねえ兄ちゃんだねえ。」
『あーやだやだ。』と言いながら肩を竦めて首を振るロニにカイルくんが『ただ恥ずかしいだけだよ!』とフォローするカイルくんに私は二人の暖かい感謝の言葉に嬉しくて笑顔を浮かべる。
するといつの間にかクモの糸らしきものの前に持って行きそれを焼いて大きめの扉が開けられるようになって、扉の前に集まりこれで外に出られるという時にジューダスが私達を呼び止めた。
目線は真っ直ぐ前を向いたまま動かない。
何事かと思っていたらモンスターが現れた。
きっとここを住み処にしていたんだろうモンスターは怒った様子で私達に襲い掛かってくる。
ジューダスが小さく『ヴァサーゴか…厄介な…!』と行ってロニやカイルくん達と戦いながらも後ろで詠唱しながら戦っていた。
私はどうするかしていたらユリアラに『隙を狙って攻撃!』とだけ言い、それ以外は喋らなかったけれどそれだけで分かって私はモンスターをじっと見て怯んだ隙にばしゃりと水を飛ばしながら走りモンスターの懐に入る。
両足をしっかりと地面につけ両腕に力を込めて一度突いてから思い切り前に両手を突き出しながら心で叫ぶ。
獅子戦吼!
「わあ!アリアすげえ!」
「可愛いだけではなく…強いだと…!俺は、俺は…!!」
モンスターは金切り声のようなつんざくような声を上げて倒れたあと動かなくなった。
その数秒あとにロニとカイルくんはそんな私にいろいろ言っていたけど、やっぱり一人は何も言わずに私を睨むように見てきていた。
なぜか、それだけですごく居心地が悪い。
モンスターを倒した後外に出る、ロニとカイルくんはジューダスにお礼を言った後去ろうとした私達にジューダスがカイルくんに声を掛けようとしてやめたのを気になったけれどそのまま去ってしまった彼に何も言えず私達は地下水路からでた。
外は真っ暗で聞こえるのは虫の囀りと、空に浮かぶ真ん丸な月だけで他は何も聞こえない。
二人は慌てた様子で早く帰らなきゃと言い、山を大きく回って我が家、と言えばいいのか分からないけれどクレスタに帰ってきた。
帰ってくればカイルくんはルーティさんに一発、頬を叩かれる場面を間近で見てしまった。