「…おい。」


声が聞こえた。

でも、まだ眠い。


「おい、起きろ。」


「なあ、ジューダス。そこに誰か、って…え？」


「お、おい。こいつ昨日の…。」


「アリア！？な、なんでこんなところに…？アリア、起きてアリア！」



会話が聞こえてきたかと思えば私は体を揺すられて、少し嫌になりながら目を開ける。

目が合ったのは変な仮面を被った黒い服を着た人だった。

その人の目は、綺麗な色をしていて思わずずっと見詰めてしまいそうになった時『あれ、アリアいつから剣なんて…』と聞こえたと同時に彼の横にいた人物、カイルくんは剣、ユリアラを見て驚いていた。



「わ、この剣なんかかっこいいね！それに見たことない剣だなあ…。」


「…、…？……っ！？」



口を開けて返してと言おうとした時喉に熱い何かを感じるのと一緒に声が出なくなっていた。


私は自分の喉に手をあてて声を出そうとするが、やっぱり出ない。

そんな私に不思議に思ったのか、私の手を取ったあの人、ロニが側に来てどうしたのか聞いてきたから、喉を指差した。



「…ん？喉？声か？」


「え！！アリア喋れなくなったの！？」



さっきまで剣に向けていたのを私に向けたカイルくんは剣を持ちながら『どうしよう！』とか『大変だ！』とか言っていて、それを眺めていたら剣を返して欲しいと手を差し出すと側にいた仮面をかぶった人物が、カイルくんから剣を取り上げて私に手渡してくれた。

それに頭を下げて口の動きでありがとうと伝えようと思ったがきっと分からないと思い、彼の手を握る。



「！？…何をするっ！」



素早く私から逃れて冷たく睨まれ言いたかった事も伝えられずに、ただ俯くしか出来なかった。

たった一言、ありがとうと言いたかっただけなのに、行動だけで相手を悪くさせてしまう。

なら、どうすればいい？

ちらりと顔色を伺えば、彼は何の感情も持たないような冷たく突き放すような瞳で私をまだ見てきていた。

それを見て私は諦めて頭を深く下げる。


私は今、喋れないから。



「そうだ、ジューダス。ここから早くでなきゃ。オレ達、冒険に…」


「…だな。それにアリアもいるから、どっちみち早いとこ抜け出さねえとまずいだろ。」



二人の言葉に仮面、ジューダスは『…行くぞ。』と言って扉の前まで行った。

二人はどうするのかと聞いてきた時、ジューダスは黙らせたあと自分の持っていた剣で扉を壊した。

三人は何か言い合いながらも外に出て見張りがいるのに気付き、どうするか話し合った。



「…こっちだ、ついて来い。」



ジューダスの言葉に着いて行けば、何やら赤く光る何かが埋め込まれたものが壁にあり、側は他の壁と不自然な模様をした前へと来た。

そこでジューダスはここはオベロン社総帥だったヒューゴの屋敷だと説明する。


屋敷内は隠し通路や隠し部屋が多くあり、今でもそれは残っているはずだと言いながらカイルに何かを渡してそれの説明も同時に始めた。

私はあまりにも退屈で近くにあった資料やら何やらを眺め、暇を潰した。


暫くして何も言わずにジューダスに腕を強く掴まれさっきまで無かった場所に道が出来ていたのを見て感心しながら引きずられるように連れていかれる。


梯子を降りればそこは真っ暗で何も見えなかった。