け開幕
「ジューダス……ありが、とう……ありがとう……」
「なにを言ってるんだ、アリア!お前は……っ」
皆がアリアの名前を呼ぶ、だが崩れ始めているせいで神の眼との距離が遠のいていき、近づけない。
一番冷静なハロルドはジューダスが今にもアリアの元に行きそうなのを必死に引き止めていた。
ユリアラを神の眼に突き刺し、ユリアラと少し会話をしたあとアリアは言っていた。
「ジューダス。あんたに伝言があるの」
「そんなの聞いてる暇はない!早く、アリアを助け出さなくちゃいけない!」
「そうだよ!こんなの、こんなの嫌だ!」
「ジューダスの役に立てたかな。だってさ」
皆がアリアを助け出そう、そう言っているのにハロルドは気にした風もなく、言葉を発した。
ジューダスだけでもなく、ロニもリアラも、皆が驚きの表情だった。
どんな言葉が込められているのか、その言葉をいち早く理解したのはリアラだった。
そしてぎりぎりとなってきたとき、リアラはレンズの力でハイデルベルグへと戻ると、みんなに聞こえるように叫んだ。
誰もがそれを良しとはせず、しかしハロルドは「つべこべ言わない!」と喝を入れる。
外殻が壊れると同時に、そして神の眼があるダイクロフトの奥の今の場所が崩れ始めるのと同時に皆は光に包まれる。
今にも飛び出していきそうなジューダスに、リアラは「アリアちゃんの思いを無駄にしないで!」そうジューダスの背中に叫んだ。
納得がいかなかった、だがリアラの泣き顔を見てしまえば、どれだけアリアの覚悟が大きいのかジューダスには計り知れなかった。
光に包まれ、アリアがいる位置が狭まってきたとき、アリアは微笑んでいた。
まるでその表情は「行ってらっしゃい」と、言っているかのように。