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やっとの思いで、バルバトスとの戦いも終わり、ジューダスはシャルティエを構えた。
あとシャルティエさえ神の眼に突き刺せば、全てが終わる。
だがそれはシャルティエとの別れも意味していた。
ディムロスはそれでいいのかと問いかけるが、ジューダスの表情に迷いはなかった。
「言ったはずだ。この世界は、スタンたちの手によって救われなければならない」
ジューダスの言葉を聞き、それぞれ黙り込んだ。
あるべき歴史へ戻すべく、運命を受け入れるべく。
「……許せ、シャル……僕は……」
いつもと違うしんみりとしたマスターの様子に、シャルティエは笑った。
『いいんですよ、坊ちゃん!さっきディムロスが言ってたでしょう?僕らは永く生き過ぎたんです。それに、正直言って……坊ちゃんのお守りにも疲れましたし……ね……』
「……ちょうどいい。僕も、お前のお小言に付き合いきれないと思っていたところだ」
『じゃ、そういうことで!早いとこ、済ませましょ!……ああ、それと。坊ちゃんといっしょにいて確かに疲れましたけど……結構、楽しかったですよ?』
少しそっけなくも感じるが、それが二人の会話だった。
「……ああ、僕もだ……シャル……今まで、……ありがとう」
その一言に込めるかのように、ジューダスの言葉には今までの長いあいだの、かつてリオンとして生きていた頃の思いもこもっているようだった。
シャルティエにらしくないと言われながら、その言葉も最後だと思うとジューダスはうまく言葉が続かなくなる。
「いくぞ、シャル!」
シャルティエを振りかざし、あとは突き刺すのみ。
だがシャルティエのジューダスを呼ぶ声にとっさのことにそれを避け、シャルティエを神の眼に突き刺すのと同時に襲ってきたそのものも突き刺していた。
ジューダスは自分の反射神経と動きをこの時、後悔した。
title「その瞬間に幸せを、祝福を」byloop