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アリアとバルバトスの連携は完璧でカイルたちは苦戦した。
アイテムを使えば飛んでくるバルバトスの理不尽な攻撃に、ロニは膝をついて息を乱れさせていた。
「クソッこいつらなんでこんな強ぇんだよっ!」
思わず吐き出してしまうのも無理はなかった。
前衛にいるバルバトスの援護をするように隙を見せずに術を繰り出すアリアに、苦戦を強いられていた。
「……ジューダス、イチかバチか……バルバトスに一気に畳み掛けてみる」
カイルはぐっと唇を噛み締めてジューダスにそう言葉を掛ける。
アリアとバルバトスの連携は人数がこちらが多いと言っても、強さでうまくいかない、ならばバルバトスに一撃を食らわせれば、きっとアリアが前衛へとやってくるはず。
いつもなら突っ込んでいくばかりのカイルにしては思いもよらない言葉にジューダスは目を微かに見開いた。
しかしすぐに頷き、後援してくれているメンバーを振り向いた時ジューダスはぎょっとした。
「ほーらほら!ちゃーんと避けなさい!裁きの時来たれり、帰れ!虚無の彼方!エクセキューショーン!」
なんとハロルドが突然ジューダスを巻き込むように上級の術をくりだしてきたのだ。
ぎりぎりで避けることができたが、一歩遅ければまきぞいを食らっていただろう。
「おいハロルド!もう少し考えて――」
「そんな悠長なこと言ってる場合?今がとどめよ!」
今にもつっかかていきそうなジューダスの言葉とカイルがバルバトスの目の前へと走っていくのが同時だった。
「飛翔せよ!疾空の刃!……奥義!!翔王絶憐衝ー!!」
全ての力を注ぎ込んだように、カイルはバルバトスに秘奥義をお見舞いした。
膝をついたバルバトスにカイルは剣を突きつける。
しかしまだバルバトスに懲りた様子はなかった。
「覚悟しろ、だと!?」
不敵な笑いをしたかと思えば斧をカイルに突きつけ、振り回し始めた。
誰にも自分を倒すことなどできない、そう叫びながら。
そしてそのまま神の眼へと触れ、膨大な力によってバルバトスは消えていった。