3
「アリアって、好きな人はいるの?」
「……好きな、人?」
ミアと美味しいクッキーを食べながら、アリアは突然の質問に首をかしげた。
「そ!……あ、でも私以外アリアは人をあんまり知らないのよね……」
ごめんなさい、と付け加えてミアは気を取り直したようにクッキーを頬張り始めた。
質問されたアリアは食べることを再開したミアに習って自分も食べ始めるがなぜかその言葉が頭の中をぐるぐると回っていた。
確かに、アリアはミア以外の人を知らない。
なのに違和感がアリアを襲った。
ミアだけが、アリアの全てだったのだろうか?
「……」
食べていたクッキーの味を、アリアはよくわからなくなっていた。
おやつの時間も終わって、ミアは用事があるのだと言って部屋から出ていった。
一人になったアリアは、椅子に腰掛けたまま何もすることなく空を見てぼんやりとしていた。
その時、アリアの頭の中に声が響く。
――――ソーディアンが勢ぞろいってな
「え……?」
驚いて立ち上がり、周りを見渡すが誰もいない。
戸惑いながらも、しかし聞いたことのある声にアリアは「誰?」と思わず声を漏らす。
だがそれ以降、また声は聞こえなくなる。
「……誰、なの……?」
不思議と、怖いなどと感じていなかった。