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アリアの剣を受け止めているとき、アリアの剣……ユリアラが「ソーディアン勢ぞろいってな」とまるで今の状況などお構いなしに笑い声を含め、喋った。
『その声……ユリアラ!?』
『どういうことだ……ソーディアンであるのは、我々だけのはず……!』
『ほぅ……まさかとは思うが、ハロルドの仕業かのう』
「あら、未来の私ってあんたまでソーディアンにしちゃってるのね」
呑気な会話にジューダスの愚痴のような呟きはきっとシャルティエとユリアラにしか聞こえなかっただろう。
しかしそんな光景もつかの間に、アリアはジューダスから距離を取りバルバトスの隣で剣を構え直す。
「……この世界は」
ジューダスはじっと、バルバトスの隣にアリアに視線を送ったあとに静かに目を閉じる。
かつて裏切ってしまった仲間たちが救ってくれた世界、自分が生きているはずもない時代を抗うように生きる自分はこの瞬間のため今日までをやってきた。
たとえ一人でやらねばならなかったとしても、ジューダスはこの時代に生を受けた時点でやることは決まっていた。
そのなかで、かけがえのない仲間を見つけた、かけがえのない仲間ができた。
「この世界は……スタンたちによって救われなければならない。それを邪魔するヤツは……」
あの日のことを、後悔したなどとは思わなかった。
だが、それは自分がしてきたことの罪と罰、あるべき歴史へと戻し、あるべき未来を取り戻す。
たとえ背負いきれないものを抱えていようとも。
いつも握るレイピアではなく、シャルティエをバルバトスへと切っ先を向けて目を開き見据える。
その目には、今自分が全うするべき使命を背負い、かつての仲間、そして今ここにいる仲間を守るという強い意思が宿っていた。
「この、僕が許さない!死ぬのは……貴様だ!バルバトス!」
ジューダスの言葉をまるで開始の言葉とでも受け取るかのように、バルバトスとアリアが技を繰り出した。